2003/11/10  #1

初めまして、プー助です

初めまして、ブー助です。私は、薬業界に勤めておりますが(ドラッグではないですよ〜)、世間一般からみるとかなり特異な部分があるようです。また、薬というものは、身近なものではあるはず(日本人は薬大好き!)なのですが、薬について誤解をされている方も多いようなので、薬にまつわる話を紹介できればと思っております。

さて、私が就職が決まったときに、伯父から「薬九層倍というぐらい儲かるらしいから、良いところに就職できたな」と言われました。確かに薬は儲かります。原価は数十分の一から数百分の一なので、九層倍どころではありません!一つの新薬を開発するコストが年々上昇し現在では数十億から数百億、開発期間は10年から15年といわれています。奇跡的に発売することができても、生命を危険にさらすような副作用が発生した場合、その薬は売れなくなり会社の信用は地に落ち株は紙くず同然・・・。決して割のいい商売ではないと思います。もちろん、それは会社を所有している株主や、経営陣の話なので一社員には関係のないことですが。

ところで、薬はどのようにして作られるのか?これについて、ご存知のあなたは物知り博士です。簡単に説明するとまず、候補となる物質にどのような薬理作用があるか調べて絞り込み、ラット、サル、ブタ、ウサギなどの実験動物に投与することにより効果と安全性を確認します。この段階で駄目になる化合物がほとんどで、ここで問題がなかったものだけが実際にヒトに投与されるわけですが(ヒトに投与し、効果・安全性を検討する試験のことを治験といいます)、まず最初に健康な成人男子に投与することになります(第1相試験といいます)。ここで、多くの方が「人体実験」という言葉を思い浮かべられたのではないでしょうか?「治験」と「人体実験」の最大の違いは、十分に説明を受けたうえで、本人の自由意志で試験に参加するかどうかを決定することです。「人体実験」は、人権を無視した行為であるので、その部分の違いについてご理解下さい。

ヒトに投与できるのは、医師だけなのでここから先は、製薬会社と医師との共同で開発を進めていくことになります。第1相試験で安全性等が確認されたら、次はいよいよ実際の患者さんに使ってもらうことになります。
まず、少数の患者さんに少量の薬剤を使用してもらい(前期第2相試験)、安全性・有効性の確認後、人数を増やし(後期第2相試験)ます。最後に、既存の薬剤との比較試験(第3相試験)で、同等以上の効果・安全性が認められれば、これでやっと厚生労働省に申請・承認になります。新たらしい薬はこのような流れで開発されますが、薬の特許は大体10年程度で切れてしまいます。特許が切れると同時に、誰でもその薬を作ることが出来るようになり、簡単な試験のみで発売することができます。これがジェネリックと呼ばれるもので、値段が元の薬の数分の1から1/10程度です。
本来であればもっと普及してもよいはずなのですが、ブランド志向の日本人に問題があるのか、あるいはジェネリックは品質がよくないとの思い込みからなのか、あまり普及していないのが現状ですが、医療費抑制が大きな問題となっているので、今後使用頻度が高くなることが予想されます。丹波産の松茸と輸入物の松茸くらいの違いはないと思いますが、発泡酒とビールの違いくらいはあるのかも知れませんね。

ジェネリックを使用するかどうか、患者さんに判断してもらう取り組みを行っている病院もあるそうなので、これからどんどん身近になってくることでしょう。
日本で一番売上の多い高脂血症治療薬のメバロチンやリポバス、胃腸薬のガスターも特許が切れているので、切り替えが進むことが予想されます。
病院に定期的に通院されている方は、自分の服用している薬にジェネリックがあるかどうか、一度調べてみてはいかがですか?