2006/1/31  #1494

攻めの気持ち

50才を過ぎたカメラマンのスタジオに
打合せでお邪魔していたときのこと。
以前から、サインらしきものが入ったTシャツを
額にいれて壁に飾ってあったのは知っていた。
きっと、芸能人にサインでもしてもらったものを
うれしそうに飾っているのだと思っていた。
だから、あえてそれに触れることもなかった。
しかし、昨日スタジオで何気なくそのTシャツを見ていると
額のなかにTシャツを一緒に一枚のポラロイドが入っていた。
写っているのは、おしゃれな洋館。
そこにもマジックでサインが入っている。
なんだろこのサイン。どこかで見たことあるなぁ。
と思って文字を読んでみると、アニエスベーと
アルフェベットで書かれていた。
同じ文字が、Tシャツにもサインされている。
タグには、同じサインが刺繍されている。
あれれ。どういうこと?

思わず、聞いてみた。
すると、そのサインはアニエスさん直筆のサインなのだそうだ。
それがTシャツにサインされてパリから送られてきた。
ますます意味がわからない。
なんで送られてきたの?と聞いたところ、
そのTシャツの胸に入っている写真、
目の前のカメラマンが撮ったそうだ。

実は、このカメラマン、アニエスから発注があって
撮ったのではなく、自分が作品として撮った写真を
採用してほしいと、応募もしていないのに
日本のアニエスに一昨年の3月に送ったらしい。
その後、何の音沙汰もなく時が過ぎて、
送ったことすら忘れていたある一昨年の10月、
一本の電話が事務所に入った。
アニエス・ベーの人からだった。あなたの写真を
アニエス本人が気に入って是非採用したいといっている。
カメラマンは信じることができず、何かの間違いか
だまされているのではないかと思い
書面で送ってほしいと依頼した。
そして送られてきたファックスを見ると
どうやら本当のようだ。
内容を確認して納得いただければ
下記の電話まで連絡が欲しいと書いてある。
見ると見慣れない数字が並んでいる。
長い。なんでこんなに長いんだ。
一体どこだ、これは、とよく見てみると
最後に、パリ本社○○と書いてあった。

さっきの電話はパリ本社からだったのか。
一気に信憑性が増し、すぐに電話をかけ直した。

それから話しはトントン拍子に進み、
すぐに契約書を交わし、2005年から1年間
カメラマンが送った作品4点がTシャツにプリントされ
全世界で販売されたそうだ。
もちろん1枚につきいくらかのロイヤリティも入ってくる。
決して安くないTシャツなので、その額もそこそこだ。

このカメラマンは、こうして他のブランドにも作品を送ったり
個展を開いたりと精力的に活動されている。

50代半ばになりまだまだ、攻めの姿勢であることが
何よりも素晴らしい。
おじさんカメラマンになると、作品というより
生活の糧というニオイがぷんぷんするカメラマンが多いなか
いつまでもクリエイティブな気持ちを持って
取り組んでいる人がいる。励みになるのだ。

熱い気持ちをずっと持ち続けている姿勢が
なんともカッコいい。
ぼくも50才を越えてなお、作ることにどん欲でありたいと
強く思ったわけです。


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