2004/11/26  #8

世界中の皆さん、ごめんなさい。 from  U.S.A

今回の大統領選挙の結果には反ブッシュである約半数のアメリカ市民を含め、世界中の人たちが失望した事だと思う。アメリカで合法に暮らしながらも選挙権をもたない僕としては選挙当日は速報番組を見ながらブッシュが再選しないようただただ祈るばかりであったのだが、翌朝ブッシュ再選が確定となったその日の空気の重さは、やはりその日を境に世の中が別のステップへとシフトしたとはっきりと感た2001年9月11日の翌日、9月12日の朝と実によく似た感じであった。

それからというもの、僕の暮らすカリフォルニア州サンフランシスコ近辺では皆バイオリズムが急激に落ちたというか、かなりの人達が失望しているというのが会話をしなくとも、街を歩いているだけでひしひしと伝わってくるという不思議な状況が続いている。これからまた4年間ブッシュ政権の下、今人類が一番まじめに取り組まなくてはいけないはずの地球規模の環境問題などは無視され続け、イラク戦争をはじめとする利権戦争が続き、あらたなテロリスト(アメリカも立派なテロ国家のひとつです。)からの報復攻撃に怯える日々になるかと思うと、楽観的に毎日を過ごすというのは簡単なことではないように思う。それに僕らの払う税金の一部が戦争費用を負担していると考えるとなんともやりきれないものである。

僕が失望したのは今回の選挙結果だけでなく、半分以上のアメリカ市民がブッシュを指示し彼に投票した、という事実である。実際にアメリカで暮らしている僕でさえ理解できない事であり、他の国で暮らす人達には到底理解に苦しむ事だと思う。選挙後何人かのアメリカ人の友人達と話す事で得た情報から推測するに、ブッシュが指示された理由の一つにはアメリカ市民の多数は保守的なキリスト教徒である、ということが大いに関係していたようだ。今回ブッシュが選挙戦で訴えつづけていた対テロ、国防政策よりもキリスト教の教えに基ずく堕胎や同性結婚への反対というのが多くの市民の指示を得たというのだ。戦争の良し悪しよりも宗教の教義を守ることを尊ぶ、という事であろうか。

僕も含め多くの人がアメリカ市民に対しブッシュを選んだという事で失望した事だと思うがアメリカで生活する者のひとりとして伝えたい事がある。選挙結果は残念ながらブッシュ再選となってしまったが、注目して欲しいのは約半数の市民はブッシュ反対派であるという事だ。ブッシュ再選=全てのアメリカ市民がイラク戦争を認めている訳ではないという事。それと僕が思うアメリカという国の良い面も紹介したい。それはこの国では大統領を国民が選挙で選べる、市民が自国の事を考え選挙に積極的に参加する、そして良かれ悪かれ、国の舵取りである大統領によって国の進む方向が確実に変わるということ。ブッシュ派であれ、反ブッシュ派であれ、誰もが声高々に自分の意見を述べる事ができ、また自分の一票が国の方向を決めることができるという事。これは民主主義の正しい姿であると思うし、アメリカという国の良いところの一つであると思う。アメリカ人はアメリカという国家を愛しているのであって、ブッシュ政府を愛しているのではないという事。ベトナム戦争の時も反政府運動が起きたし、今回のイラク戦争でも国の色々なところで反戦運動が起きている。政府の示す政策が酷いものであればそれに対し国民ははっきりとノーと言い、反政府行動を取る人がたくさんいて叉それを支持する人もいる。これも僕がアメリカが好きな理由の一つであったりする。

僕のフェイバリットバンドの一つのCSN&Yのメンバーであるデヴィッド・クロスビーのインタビュー記事の一部を紹介したい。これは日本の月刊プレイヤーマガジン2004年11月号に掲載されたインタビュー*から彼が政治的なテーマの曲を歌い続ける理由、そして現在のアメリカに対する想いを語った部分の抜粋である。

「この国を現在動かしている右翼の人間の考えは、自分達の意見に同意しない人がいたら....たとえば戦争が素晴らしい考えだと思わなかったら、そいつはアメリカ人じゃ無い、といったような風潮にあるからなんだ。そんなの間違っているよね。私は現在の大統領が大嫌いなんだ。この政府が我々に対して、この国に対して、そして世界や諸外国に対して行っている行為を軽蔑しているよ。本当に軽蔑する。まったくとんでもない事だと思う。けれども、私はこの国を愛している。この国の憲法を愛し、基本的人権を愛し、独立宣言を愛しているんだ。アメリカという国のアイディアを愛している。とても優れたアイディアだと思っている。 あの曲を私が歌い続けるのは、そのことを明確にしたいからなんだ。現在の政府は好きじゃ無いが、それとはまったく別の話だってことをね。今の政府は、まるで政府がアメリカという国で、合意しない人間がいたら即アメリカ人じゃないかのように振る舞っている。が、それは間違っている。これらは単なる政治家にすぎないよ。国は国、政治家は政治家、良い悪いとは別なんだ。だから、私はあの曲を歌い続けているわけさ。」

「この国のアーティストの大半は、戦争という発想を支持していないよ。人権を信じ、市民権を信じ、人間は皆平等だというのを信じているし、戦争よりも平和、憎しみよりも愛の方が良いと信じている。そんなの明確だし、疑問の余地は無い。実際にこの国の多くの人々が強く信じていることなんだ。」

上記のデヴィッド・クロスビーの発言は反ブッシュ派であるアメリカ人を代弁するものだと思ってもらって良いと思う。

それともうひとつ、紹介したいリンクがこちら、sorry everybodyというサイトである。アメリカ市民が今回の選挙結果について、世界の人々へそれぞれが申し訳ないと思う気持ちを写真入りメッセージで伝えているというものである。こちらのギャラリーに掲載されているメッセージを読むと少なくとも約半数のアメリカ市民はまともな心を持っているのだということが伝わってくるし、そのメッセージを受けとった世界中の人からの「オーケー、了解したよ。」とか、「そっちも大変だろうけど、がんばれ!」等といったレスポンスなどを読むととても元気付けられるし、希望を持ってやっていこうという気にさせてくれるサイトである。

次回の選挙ではアメリカを正しい方向へリードできる人物が大統領に選ばれる事を心から期待している。

Thanksgiving day