2004/11/25  #62

ビューティフルネーム


すっかり日が短くなってきましたね。
最近は5時過ぎに起きているので、家を出る頃もまだ日の出前。電車に乗ると、ようやく生駒山脈から太陽が昇ってくるという、有り難さバツグンのご来光通勤です。
以前は、日が短くなっていくのが憂鬱でしょうがなかったけど、最近は毒食わば皿までっていうか、いっそ真っ暗なうちに会社に着いちゃる、日の出と競争だぁっ!みたいな感じで、なんだか冬至も楽しみ。
会社にいると昼も夜も電話鳴りっぱなしですからね。早朝じゃないと落ち着いて仕事できないんだもの。

そうそう、電話といえば。
電話かけてきて、会社名だけ言って、名前も名乗らずにいきなり仕事の話を始める人、けっこう多くないですか? 1人しかいない会社ならともかく、何十人も営業マンがいるような会社の人が電話してきて、「あ、ナゲさん?〇〇ツアーです。見積もり1件お願いできる?」って、わぁーって話し始めたりとか。声でなんとなく察しがつくけど、誰やねーん、とナゲさん常々ご立腹なんでございましてよ。

名乗りって大事ですよね(武士みたいなこと言って、あいすまぬ)。会社名だけしか言わないのって、クセなんでしょうけど、意識の底で「私がやってるんじゃないのよ、これは会社がやってることよ」って言われてる気がしてしまう。なんだろう、匿名性っていうか、無責任のニオイ・・・。

言霊(ことだま)って信じますか? 言葉にはチカラがあるっていう。
私はけっこう信じてるけど、名前ってその最たるものじゃないでしょうか。生まれた時から繰り返しその人に呼び掛けられるものだから、その名前の響きが持つ波動って、本人ときっと同化しちゃってるんだろうなーって。
だから昔の天皇って、称号や諡名は後世に伝えられてるけど、本当の名前はごく一部の人にしか知らされてなかったんですってね。本名を呼ぶことは、それだけで相手にチカラを行使することになるから、禁忌だったんだそうです。

なんだかすごく呪術的な匂いがしますが、現代でもアジアにはあるんですよ、そういうの。
ラオスの人がいつも名乗っている名前というのは実は通称で、本名は家族とかよほど信頼できる友人などにしか教えないんですって。
私も昔、あるラオスの友人に本名を教えてもらったことがあるんですが、これがもう、すっごい長くって。「それ名前なん!?」みたいな感じで、とても覚えきれませんでした。いや、かたじけナイ。

長いといえば、先日トリビアの泉にも取り上げられていましたが、タイの首都バンコクの本当の名前も相当長いんですよ。「クルンテープなんとかかんとか」って、延々と続いていくんですけど、じゅげむじゅげむごこうのすりきず・・・より長かった、たぶん。
そもそも、バンコクという名前は外国人が使っているだけで、現地の人は「クルンテープ(天使の都)」って呼んでるんです。そっちのほうがカワイくっていいですよね。

ベトナムの首都・ホーチミンもそう。公式にはホーチミンシティーですけど、この街の人は頑なに「サイゴン」という名前にこだわっています。
南北で争った末、1975年に北部ベトナム(共産主義勢力)が勝利して南北が統一、その指導者の名前をとってホーチミンと名付けられたという経緯があるので、南部の人たちにしてみれば、共産主義者に押し付けられた名前、っていう感覚があるらしいんですよね。
ちなみにホーチミンの空港コードは、南北統一前から今に至るまでずっと、「サイゴン」を表す「SGN」です。

ベトナムはねえ、統一後30年近く経ちますが、南北の確執って根深いですよー。もともと日本と同じく縦に長い国で、南と北では気候風土も文化も人の気質もかなり違うと言われている上に、南北に分断されて争った過去があるものだから、いまだにお互い嫌い合ってるようなところがあるそうなんです。
例えば、ベトナム縦断のツアーに南部出身のガイドをつけると、北部に行った時ホテルやレストランでガイドが冷遇されたりして、ツアー自体にも支障を生じたりすることが有るんです。訛りで、どこ出身とかいうのはすぐ判るらしく。逆パターンもあるんですけど、やはり南のガイドが北で冷遇されることのほうが多いよう。勝った北部が負けた南部をいじめる、っていう構図らしいんですよねー・・・。

でもほんと、色々な面で違うなと思います、北と南。
何年か前、南のホーチミンから北のハノイまで、バスでひたすら北上していったことがありましたが、暑くて人がポヨーンとしてる南から、北へ上がるにつれて(=地理的に中国に近付くにつれて)人がだんだん共産圏っぽくなっていって、ハノイ近郊のレストランで、ニコリともせずに釣り銭を投げてよこされた瞬間に、「ここは中国だー!」と全身で実感。もうあんまりにも中国チックで、思わず笑ってしまうほどでした。

・・・と、そんな中国に今週末から出張。
貴州省なんですけどね、古い呼び名を「黔(ケン・漢字変換できるかな)」といいます。
こういう、地域ごとの古い呼び名は今も各地で生きていて、「滬(コ・これも変換できるかな)」という字が車のナンバープレートに記されていたら、それは上海市登録の車、とか。
名前もね、地域を象徴する漢字をあてている人にけっこう出会います。うちが契約してる雲南省の旅行会社の担当者さんの下の名前は、雲昆さん。ああ、雲南省昆明市で生まれたんだなーって丸分かりで、ご両親の郷土愛をひしひしと感じてしまいます。

もし私が、故郷にちなんだ名前をつけてもらってたら、どうなってたかな。
山口・・・長州・・・。うっ!
長州力・・・・っ!!