2004/4/30  #49


海外危険情報


前回、「働きすぎはよろしくない」とコラムに書いた直後に、昼食もろくにとれないほど忙しくなり、ここ3週間ほどはマシーンと化してしまっていました。最後のほうは、「ナゲさん電話ー」と呼ばれる度に、なぜか「わははははー」と笑ってしまい、もはや壊れモノ。もう全然、よろしくない状態でした。

それでも、深夜残業がもうイヤで、朝は7時頃から働くようにしてたんですけど、朝6時過ぎの電車なんて誰も乗ってないんじゃないかと思ったら、けっこう乗ってるんですね、サラリーマンの方。
ああ、世の中ってこんなに朝早くから動いてるんだなあと、これはちょっとした発見でした。これまでは自分が夜型だったので、あんまり気が付かなかった。

早く出た分、夜はニュース番組に間に合う時間に帰宅するようになり、おかげでイラクの人質問題も報道をわりと詳しく見て、いろいろ考えさせられました。

この件については、まだ自分の中で明確なスタンスが定まってないので、はっきりと意見を言うことができないのがもどかしいのだけれど、人質になった人たちに対して「無責任な行動で人に迷惑をかけた」というバッシングだけは、あんまり賛成じゃないです、私は。

確かに、判断の甘い部分も多くあったのかもしれないし、それに対してある程度の批判は仕方ないかもしれないけど、勝てば官軍、負ければ賊軍、みたいになってない?って思う。捕まらずに良いいことだけして帰ってこれればお咎めなしだけど、捕まればたちどころにボコボコに批判されたりして。

それにね、迷惑って、かけちゃいけないのかな。
事の大小は別として、私は人にいっぱい迷惑かけながら生きてるし、人に迷惑かけられたことだって結構あるんですけど。でも許し許されて、なんとか生きてる。
なんか、許しがないっていうか、「私に迷惑かけないでよっ」っていう感じの、すっごい不寛容な意識の上に、今回のバッシングが成立してしまってるようで、うすら寒ーい気分になりました。
迷惑って言うし、国益が損なわれるって言う人もいるけど、自衛隊の邪魔にならないことが本当に国益なのか、私にはわからないし、分かって言ってる人も少なそう。
それに、国益国益って、ええやん、そんなに日本のことばっかり考えなくっても、世界中みんなが幸せになれる方法を考えたら。イラクの人が要らないっていうんなら、ほんとに自衛隊は要らないんじゃないかしら。現地でご苦労されてる自衛隊員の方には申し訳ないのだけれど。
私の払った税金が彼らの救出に使われたとしても、道路公団とか訳の分からない財団とかで訳わからない使途に使われてるよりよっぽどいいんだけどな、私。それって大甘?

そもそも、戦争やテロリストがあるから人質問題も起こるんだから、そこの大もとを無くす方向で議論しなきゃいけないのにね。

と、いろいろ考えるのも、私が海外を扱う旅行業者だから余計に、というのもあるのかもしれません。
仕事で扱っている国の中にも、日本の外務省が「危険」と見なしている地域はいくつかあって、その危険度は4つのカテゴリーに区分されています。
前は危険度1〜5までの5段階だったのだけど、今は4つで、下から2番目の「渡航の延期をおすすめします」が発令されると、パッケージツアーなどは基本的に催行中止になります。「渡航の延期をおすすめします」には法的拘束力は無いから、あくまで自主判断。リスクを負いきれないから、さっさと止めちゃえ、と。

で、それでも行くという人に対しては、ほとんどの旅行社が、お客さんに同意書を書いてもらうことになっています。「何かあっても自己責任です、訴訟は起こしません」みたいな内容の。
何かあって裁判ざたになったときにね、危険を予見できたか否かっていうのが重要らしく、海外旅行の場合は、外務省のこういう危険情報が目安になることが多いんです。だから業者は、外務省の発令にはものすごく敏感。

でもこの外務省の危険情報も、業者の死活を握ってるわりには、けっこう杜撰な出し方してるなーと感じることがあります。
タイにね、一番低い危険レベルの、「十分注意してください」が出たことあるんです。バンコクなどの繁華街でスリや強盗が頻発してるから、って。
でも、バンコク程度の治安なら、もっと他に危険なとこが死ぬほどあると思うし、ニューヨークなんて、夜間の女性の一人歩きは危ないっていうじゃないですか。それならバンコクよりニューヨークのほうが危なそう。
でも、アメリカには発令されないんです。発令して観光客が減ったら、アメリカに怒られるから。
9.11のテロの時すら、大した危険情報は発令されてなかったと思う、たしか。
その程度のものなんです。

でも、自分で調べて自分で判断を下すより、誰かに基準を設けてもらって、誰かに決めてもらうほうが楽なんでしょうね、この危険情報次第で、お客さんが増えたり減ったり、旅行を決めたり取り止めたり。

SARSとか鳥インフルエンザの時もそうでした。
終息しかけの頃、旅行を行くか止めるか迷ってるグループがあって、「外務省かどっか公的機関から安全宣言が出たら行くけど、出なかったらキャンセル」とか。
安全宣言には何の法的拘束力もないのに、そんなにも自分の頭で考えて判断下すリスクを負いたくないのかと、なんだか不思議な気分になったものでした。

今回、イラクで人質になった人達が家族ごと袋だたきみたいなことになって、ますます日本人は、自分で判断してリスクを冒すことを恐れるようになっちゃうんでしょうね。あんな悲惨なことになるくらいなら、おとなしく政府や大多数の意見に従っとこう、って・・・。

なんかもー、ずーっと考え続けています。この3週間で私がやったことって、働くことと、この問題を考えることと、あとは筍を茹でまくったことくらい。ああ、フキも煮詰めたな。買ってきた旬の野菜を、すぐには食べきれないので、とりあえず茹でまくってました。
太陽の光を浴びて育った旬の野菜って、なんかエネルギーが強いような気がしませんか? 忙しくて疲れてたから余計に、体がそういうのを求めていたっぽい。
筍とか空豆とか水菜とか、とりあえず体の中に新鮮で強力なエネルギーを取り込むことにも忙しい、最近の私でした。


あ、そうそう。全然関係ない話ですけど、田口ランデイさんの本で、娘さんがアトピーで、寝てる間に掻きむしるから包帯巻いてたけど、掻いて血が出ることにも意味があるから止めなくていい、みたいなことが出てて、共感しまくりでした。
私もアトピーで、小さい頃は、掻きむしらないようにと寝る時に両手を縛られたりしてたんですけど、「血だらけになってもいいから掻かせて!」と思ってた。親は「女の子の体に傷が残っては」と思ってやってくれてたんですけど、痛いのより痒いほうが我慢ならないし、掻いて血やリンパ液を出すことで体の毒素を排出してるんだってことを、たぶん子供の本能として知ってたような気がします。
体のすべての症状には必ず何かの意味があるし、世界で起きる出来事にも、何か意味はあるんだと思う。
・・・というわけで、今回の人質事件がもたらされた意味を考えつつ、今回はこのへんで。
皆様、よいゴールデンウィークを・・・。