2004/3/7  #45

旅人としての精神構造

寒の戻りが強烈ですが、梅がきれいな花を咲かせていますね。
今の家に引っ越すまで、日常生活の中で梅の花に気を留めることがあまりなかったのですが、今は畑の脇だの民家の庭だの、そこらじゅうに梅の木があるため、赤とか白とかピンクとか、いろいろな種類の梅の花を楽しんでいます。
・・・・あぁ春ですねー。
水栽培を試みて、キッチンで水に浸けておいたニンジンの切れっ端から、小さな芽が生えてきたのですが、瞬く間に猛然と新緑の葉っぱが生い茂ってきました。生命の力強さといじらしさを感じつつ、この葉っぱをどうやって調理したら美味しいだろう、と頭をめぐらせる今日この頃。
日差しが春めいてきたからでしょうか、それとも、地下水比率が6割を占め、「水は知っている」という本でも紹介されるほど結晶が美しいとされる交野市の水道水が良いのでしょうか、葉っぱはギュンギュン育っています。
近所に酒蔵があるんですけど、酒蔵があるってことは、水がいいってことなんですよね。確かに、ここの水道水は「おいしい」と感じたけど、植物にとっても美味しくて成育にいいのかなあ。この水使って栽培すれば、秋にはキッチンで芋掘りとか米の収穫とかできたりしてっ・・・!(できひんって)。

それはさておき。
会社の先輩が先日、初めてのラオス出張から帰ってきました。
ラオスが好きで好きで、もう目に入るラオス人なら片っ端から抱き締めてまわりたいほどラオス好きな私は、当然先輩もラオスを気に入って帰ってくるのもとばかり思っていたので、顔を見るなり「ラオス良かったでしょー!?」と満面の笑みで迎えたのです。が。
返ってきた答えが、「アカン!あんな国、売れへん!」だったので、ひどく面食らってしまいました。
いわく、「見るもん何もない、食うもんタイより田舎くさい、ラオス人はボーッとして仕事にならへんし、何も特色あらへん。あんなとこ連れてったら、客からクレーム出るで。」と、いたくお気に召さなかったようで。

・・・・うぅぅぅぅぅぅん・・・、難しいなー!それって。
先輩がラオスを気に入らない理由、すなわち「何もない」、それこそが、私がラオスを愛してやまない所以なのだけれども。
何もなく、あるのは豊かな自然と心穏やかな人々、ゆったり流れていく日々の暮らし、そして信仰。都会で忙しく働く私達とは対極にあるような世界。
「癒しの国」とキャッチコピーを付けられてブームになったベトナムですら、ラオスを訪れた後では、がちゃがちゃギスギスしてるように感じられるほど、のほほんとした穏やかな国です。そこがいいんじゃないのよ、と、感受性の鈍い先輩に文句のひとつも言いたくなったんですよね。・・・でも。

旅行業者という立場で言うならば、先輩の観点はある意味、的確で正しいのです、残念ながら。
どんな商売でもそうだろうけど、売れるか売れないか、商売である以上はそれが一番大切なこと。感傷や情緒は二の次三の次のものです。
先輩の視点は、旅行業者の視点で、ラオスを溺愛する私の視点は、旅人の視点。それも、通常私たちに利益をもたらしてくれるパックツアーなどの「旅行者」ではなく、自分の足で動く「旅人」の。
ことの是非は別として、どうやら何年経っても、私が拠って立つ位置というのは、業者というよりも、旅人のそれに近いままでいるようです。

私にとってはいささか不本意なことではありますが、今の日本における旅行マーケットは、まだまだ「詰め込み型」の、短い日程でどれだけ安く、なおかつたくさんのものを見られるか、を主眼としたものが主流です。
マーケットがそうだから、売る側もそういう商品しか作らないのか、そういう商品しかないから、お客さんもそれに従うのか。何かもうイタチごっこみたいなものなのですが、新しいニーズを作り出す努力をしてないという意味で、業界のほうが悪いかな、やっぱり。「いま売れる」ものだけを善しとして、違うアプローチをするというリスクを冒してないんだから。

ふかーいふかーい、とてつもなく深ーい一本の溝が、私には見えています。
かつてバックパッカーだった自分もそうだった、自力で旅をする人、いわゆる「旅人」と、旅行業界とそれに依存する「旅行者」との間の、絶対にまじりあうことのない、くっきりした境界線。
どっちがいいとか悪いとかじゃないし、旅のスタイルなんか各自が好きに選べばいいのだけれど、少なくとも業界の人間は、もう少し旅人的な視点も身につけたほうがよくないかな、とは思ってます。
・・・・難しいんですけどね。ろくすっぽ旅行したことのない人もけっこう多いですから、この業界。

最近、自分がなぜこの業界にいて、この会社にいて、営業という仕事をしているのか、その役割を与えられた意味というのを考えたりします。
自分でこの業界とこの会社を選んだだけのことなので、役割とかそんなご大層なことを言う必要はないんですけど、この世にあるものはどんなにささいな物でも、全て何らかの意味や役割があって存在している、というのが持論なんですね、私。なので、何の仕事をするのかということも、個人の志向に加えて、神様の意志みたいなものもあるかも・・・と思ったりしていて。

で、自分の役割というのは、このふかーい溝を少しでも埋めたりとか、旅人的な視点を持たない旅行業界に、そういう視点を持ち込むことだったりとかするのかな、と最近は考えています。・・・おぉ、書いてしまってから気付いたけど、ずいぶん大きな役割だわ、聞かなかったことにしようかしら(笑)。
これもシンクロニシティというものなのでしょうが、そう考え始めた途端、会社のホームページに定期的にコラムを書くよう、社長から言われました。東京本社にちゃんとマーケティングのスタッフがいるにも拘わらず、支社の一営業マンに白羽の矢が当たったのも、何かのお導きなんでしょう、きっと。

・・・とはいえ、営業の仕事だけでも十分テンパってるので、もしかしたらこの聞き耳で書いた過去コラムをそのまま流用しちゃうかも・・・・。
聞き耳読者の方には予めゆっときます、どこかで、ナゲとおんなじこと書いてる旅行会社のホームページのコラム見付けたら、それは私です、ごめんなさーい!!