2003/5/19  #26

ベトナムお得情報、そして決意と


『これより先に出口はありません』。

大阪市営地下鉄天満橋駅のホームの柱に、デカデカと貼りつけてあった文字です。
通常、ホームの一番端には、改札に通じる階段とかエレベーターがあって、そっち方向へ行きたい乗客は、慣例としてホームの端のほうを目指して歩いていくものなんですが。
天満橋駅のホームの端っこには、出口に通じる道がなかったんですね。

ただの表示と思えばそれまでですが、当時、恋人とモメて、どうにも出口がない、もうダメだ、という気分になっていた私にとって、その表示はほとんどご神託にも近く、「そうですか、やっぱ出口はありませんか」と、その場に座り込みたいような気分になったものでした。

今、それを私が目にするとしたら、やっぱり真っ先に業界の現状について思いを至すでしょうか。

福岡で先日、某中堅旅行社が会社が倒産しました。
負債額は忘れちゃったけど、あるランドオペレーターに対して、3000万円の未払いを抱えたままの倒産だそうです。
そりゃ、あかんでしょう。ヘタしたら、連鎖倒産の危険があります。

こんな状態で、飛行機も国際線はバンバン運休・減便していますが、おかげで料金も、秋の日のつるべ落とし並みにグングン下がっています。

特に旅行業界社員限定の優待価格なんて値下げが甚だしく、先日ついに「ベトナム直行便、往復2万円」という料金が降って湧いてきました。
2万円て、アナタ。私、山口の実家に帰るのに往復2万円以上ですよ?(って、国内でももっと莫大な帰省費用かかる所ありますね)。

・・・えー、2万円でベトナムへ行きたい方、お近くの旅行業界人にお申し付けください。
同行の家族および友人も同料金の適用可能ですので、無理やりにでも業界人本人を連れていけば、お安くベトナム旅行ができます。くす。
でも本当に、航空会社も大変ですね。いっそ運休しちゃえば楽なんでしょうけど、パーサーやスチュワーデスだって雇ってるし、運休されたら私達だって困るし、苦しいところなんでしょう。
某アジア系航空会社の営業マンと話してたら、「これから3か月間、毎月一週間ずつ強制的に休まされるねんで」とのことでした。もちろん、休んだ分は減給です。

そうそう、めっちゃ笑うことがありました。
7月に、高校生をベトナムでホームステイさせるツアーがあるのですが、ベトナムって、いちおうWHOによってSARS終結宣言が出たでしょ。
で、送り出す側も安心してたら、今度はベトナムの公安警察のほうから、「日本人からSARS感染したら困るから、ホームステイは認められない」って連絡が来て。
「アンタたちにそんなこと言われたくないわよ!」ってキレつつ、なんか笑ってしまいました。
SARS制圧について、よっぽど自信があったんでしょうね。かわいいなあ、ベトナム。

そうかと思うと中国は、「今後、意図的にSARSを拡大させた者は死刑」という法案を早々と通しちゃったそうです。
まさか意図的にやる人はいないと思いますけど、さすが中国、即死刑ですか。人権ないなあ、相変わらず。
余談ですけど、ちょっと前まで、犯罪を犯した中国人は裁判もなくその場で銃殺、とかいう話をよく聞きました。真偽のほどは分からないけど、列車の中で外国人の荷物を盗んだ中国人が、公安に突き出された途端にその場で銃殺されたとか、されないとか。
ほんと、人口多いせいか、中国って人が虫けらです。これは、中国をある程度知ってる人ならみんなそういうと思う。
アメリカが、なにかっていうと人権問題のカードをきるのも好きじゃないけど、中国の人権問題もけっこうエグイと思います。チベットでも、反政府活動分子に対して拷問とかありますもの。
興味おありの方、京都・出町柳の「ランゼン」というチベット・レストランに行ってみてください。詳しく聞けます。

ところで、ね。
仙台支社の営業マンと話してて、「東北のほうはダメです。需要が、完全に国内向いちゃってます」とかボヤくから、どうやって元気づけたらいいのか分からなくて、「私達が前向きになんなきゃ、誰が市場を引っ張るんですかっ」ってハッパかけたんですけど、ほんとにね、私達が引っ張らなきゃ、しっかりしなきゃって、すごい思うんです。
自分たちが何ほどの者だとかいうような自惚れはないけど、ここから前向きな波を広げていかないと、って。

『心配するな、慌てるな、最善を尽くして、あとは忘れろ!』。
最近お気に入りの言葉です。加藤諦三という人が訳したネイティブアメリカンの本の一説だから、ほんとにネイティブの言葉なのか、加藤氏の創作だか、よくわかんない。なんか、訳者のコメント入りまくりの本なので。
でも、これきっと真理だと思う。
特に、最善を尽くす、っていうのがミソな気がします。情況が良くないときにこそ、全力でやんなきゃ。諦めたら、そこで終わりなんですよね。
SARSだもん仕方ないよ、って情況を受け入れるのも大事だけど、そこから何を起こすかは、私達自身に委ねられていると思います。

早く出口が見えてきますように。
出口の向こうに何があるのか、後ろと同じような景色が続いているのか、それとも世界は一変しているのか。早く見てみたい。
このトンネルはもしかしたら、業界にとっての産道なのかもしれません。
明けない夜も、止まない雨も、絶対にないんだと信じて、私達、いや、業界はどうかわからないけど少なくとも私やまわりの数人は今、高らかな産声をあげる準備を始めようとしています。

・・・ちなみに、天満橋駅の『これより先に出口はありません』表示ですが、駅の改装に伴って出口が新設され、最近この表示は外されました。
あの時に無かった出口が、工事までして、出来た。
こじつけかもしれないけど、そこには、どんなに絶望的に見える情況にも、ちゃんと出口は与えられるんだよ、というメッセージがあるような気がしました。
そして、1年少し前にホームで座り込みそうになってた私もまた、前に向かって大きく一歩踏み出しています。
まだまだ、暗中模索は続きます。
でも、がんばっていこ。