#4

人はみんなどこかで
人の役に立ちたいと思っている


□うえやま
世界一周されたなかで一番感動したことは
何ですか?

□達さん
人は「善」なんだと実感できたことですね。
旅に出て1年目がアフリカだったんですが、
言葉も文化もわかっていない僕を
村のひとたちは受け入れてくれるわけです。

腹が減っているといえば、
ぼくに一番多くのおかずを出してくれる。
ベッドがひとつしかないのに、
そこに寝ろといってくれる。
一番いいところを与えてくれるんです。

物質的に貧しいにも関わらず、お金も受け取ろうとしない。
彼等もお金は欲しいんだろうけど、
「困っている人を助けるのは当然のこと」
という彼らの人としての誇りというか、温かさ

心を大きく動かされました。

そういったことがアフリカで1年近く続いたとき、
「人間は善なんだ」そう信じるようになれたんです。

□うえやま
ボクもアフリカには行ったことがありますが、
都会では治安が悪いという印象が強かったですが。

□達さん
確かに大都会に行くと、治安の悪い地域はあります。
ぼくも、カメルーンで町を歩いていて強盗に囲まれました。
みんな目が血走っててワナワナしているんです。
ぼくをぐるっと囲んで。
そのとき、なぜか、こいつらこんなに焦っているってことは、
根はいい奴なんじゃないかと、思ったんです。
そしたら、彼等の心に一瞬スキができたのか、
スーツを着たカメルーン人がサッとぼくの手を引いて
助けてくれたんです。

そのとき、ぼくがナイフでも持ってて
ぶっ殺してやると思っていたら
ぼくは殺されていたかもしれません。
彼等のすべてが悪かといえば、
そうは言い切れないわけで・・・
そう思って接すると、
いいところを見せてくれるようになるんですね。

トルコ東部の街で、印象的な出来事がありました。
街を歩いていたら、小学生3人が話しかけてきて、
バザールやモスクなどを3時間もかけて案内してくれたんです。
トルコは、チャイ(お茶)でおもてなしをする文化なのですが
驚いたことに彼らは最後に、チャイハネ(喫茶店)で
チャイをおごってくれたんです。

相手は小学生です。
さすがに小学生にお金を出させるわけにはいかないので
「出すよ」と言ったのですが、ガンとして受け取らない。

翌日市場を歩いていたら、何とその少年の一人が
声を張り上げながらティッシュペーパーを売っているんです。
昨日ぼくにごちそうしてくれたチャイは、
少年がティッシュペーパーを
売って稼
いだお金
なんです。
彼らも決して裕福じゃない。
それなのに、ぼくをいろんな所に案内してくれて、
チャイまでごちそうしてくれた。
そのことにすごく感動してしまって・・・。

後になって知ったのですが、
トルコでは旅人を「神の客」と呼んで
「できる限りのもてなしをしよう」
という習慣があるらしいです。
子どもたちもその教えにならって
ぼくに精一杯のもてなしをしてくれたんです。

人はみんなどこかで人の役に立ちたいと
思っているんだと思います。

日本でもでたらめなことばかりする若者もいますが、
みんなどこかで人の役に立ちたいと思っているんだと思います。
阪神大震災のあとに、
イキイキとボランティアしていた若者の目を見て
改めてそう思いました。
そう思えることが何よりの宝です。