#1

業務レポートに
世界一周の夢を綴った3年間。


□うえやま
自転車で世界一周という
世界を見渡してもほんの一握りの人しか
達成していない偉業を3年前に達成されたわけですが、
そもそも達さんが自転車で世界一周しようという夢を持った
きっかけはなんだったのですか?

□達さん
最初に世界に目を向けたのが小学校5年生の時、
父の仕事で住んでいたフランスから帰国して
日本の小学校に通い始めたんですが、
そのとき、日本とフランスの環境に違いに
少々とまどいました。
フランスでは「人はそれぞれ違うのが当たり前」だったのに
日本では「人と同じ方がいい」
という環境でした。
その違いを不思議だなと思いました。
フランスも日本も同じ現実なのに、この違いは何?
現実って何なんだ?と考えたときに
「現実はこれだけじゃないはずだ。
地球上にはもっといろんな文化や環境が
あるに違いない、それを自分の目で確かめてみたい」
と、そのとき強く思ったんです。

□うえやま
そうした想いが、どこで世界一周という
具体的なイメージになっていったのですか?

□達さん
ミキハウスに入社してからです。
入社するとき、将来フランスの所長をやりたいといって
海外事業部希望で入社させてもらいました。

ところが社内には、
女子柔道部や女子ソフトをはじめ、
たくさんのスポーツ選手がいる。
じぶんの能力を発揮して、
例えばオリンピック出場のような夢を実現させている。
彼等のように、自分の個性を生かして
生きることができたらいいなぁ、と

素直に思ったわけです。

フランスにいたときに、世界最大の自転車レース
ツール・ド・フランスを見たのですが
その迫力に感動してしまって、
小学校から自転車をはじめました。
中学校ではロードレースに入賞し、
大学では北海道などを走りました。
海外にはずっと目が向いていたので、
自転車で世界一周というアイデアが出てきたんです。

□うえやま
それが実際に世界一周へとつながっていくわけですが、
素朴な疑問として、なんでそんなに有給休暇が
とれたんですか?

□達さん
ぼくはミキハウスという会社に
ご縁があったのだと思います。
会社では年に2回レポートを
全社員が書きます。
これは業務レポートなので、
改善点や職務希望などを書くわけですが、
ぼくは最後に紙を貼って、
「自分の夢」という内容で世界一周の夢について書いたんです。
3年間6回にわたって書き続けたんです。
もちろん会社が個人の自己満足に目を向けるはずもなく、
無視されてたんですが。(笑)

□うえやま
それがどういう展開で許可されたのですか?

□達さん
業務レポートに夢を書きながら、
26歳で区切りをつけようと思っていました。
26歳というのは、ミキハウスのオヤジ、木村社長が
会社を興された年なんです。

夢をとるか、現実をとるか。
お金や仕事は取り戻せるけど、
時間を取り戻すことはできない。
それなら、現実をあきらめて夢にかけてみよう。

会社を辞めて自力でいこう。そう決めたんです。

計画を始めると、資金面でつまずきました。
試算では1000万円必要だったんですが、
それに300万円ほど足らなかった。

その300万円を補うために、スポンサーをまわりました。
通常業務をしながらのスポンサー探しだったから
大変でしたが、気持ちが通じたのか、運がよかったのか
24社からものご協力をいただけることになったんです。

会社では6年目、最後のレポートで
僕の思いをストレートに社長にぶつけました。
24社のスポンサーリストとともに・・・。

そこで、社長はぼくが24社ものスポンサーを
集めてきたことに驚いて
本気なんだと気付いてくれたんです。

社長から「会社を辞めんでもええ。応援したる」
と言われたときは本当にうれしかったですね。
しばらくは、いつも見ているものも
何だかキラキラ光ってみえてました。(笑)