第5回 その7


NRBQは、ひとつの宇宙みたいなものですね。
それだけ奥が深くてカラフルなバンドなんです。


□ラムネ庵
ここからはNRBQのこととか、
今回の大阪公演についてのお話を聞いていきたいと思うんですけど、
中島さんが、NRBQを日本に呼んでしまうくらい
ファンになってしまったきっかけってなんだったんでしょう。

□中島さん
会社員の時から、よく音楽専門のビデオ屋さんとかをまわって
好きなアーティストのビデオを集めてたんですけど、
ちょうど会社やめるかどうかくらいの時期に、
仕事で東京に行く用事があって、その時に西新宿のビデオ屋さんで、
NRBQのビデオを見つけたんです。

その前からNRBQは知ってて結構好きだったから
これおもしろそうやなって思ってなにげなく買ってみた。
そしたらそのビデオにドラマーのトム・アドリーノが
ドラムセットをバンバン叩いてる映像がでてきてね。
それ見た時、すっごい衝撃を受けたんですよ。
なんかこう、しょぼいんだけど、すっごくのりのりで、
とにかくかっこよかった。
で、「これやったら俺でもできるんちゃうか?!」
って勘違いしちゃった(笑)
それから、ドラムを始めたんです。
後から、トムのすごさっていうのが
だんだんわかってきたんですけどね(笑)

□ラムネ庵
へー、ドラムを始めるきっかけがNRBQだったんですか。

□中島さん
だからほんと、そのビデオを見て、
これなら僕でもできるやって思った瞬間に人生が180度変わった感じ。

□ラムネ庵
すごい衝撃的だったんですね。

□中島さん
そう、NRBQのおかげで僕のドラム人生が始まった。
それまでバンドではヴォーカル&ハーモニカをやってたんですけど、
次の日すぐにペダルとスティックを買って、
いきなりスタジオでやりだしましたから(笑)
最初は思うようにできなかったったんですけど、
そのうちになんとかなってきて、
そうすると、また楽しくなってきて。

□ラムネ庵
あー、なるほどー。
それで今の中島さんのバンド活動に至ってるわけですね。
このホームページを見る方は
NRBQのことを知らない方も多いと思うんですけど、
中島さん自身、人にNRBQを説明する時にどんなふうに説明しますか?

□中島さん
んー。難しいですね。言葉では説明できない!(笑)
とりあえず、見て聴いてくださいとしか言えないです。

□ラムネ庵
それはわかります。自分が本当に好きなものって、
人に伝えるの難しいですよね。

□中島さん
例えばね。
Dr.フィールグッド(注:パブロックの代表的なロックンロールバンド)と
NRBQが僕の人生で最も大切なバンドなんですけど、
Dr.フィールグッドの場合は言ってみればブラック&ホワイトの世界。
ものすごくわかりやすいんです。
ウィルコ・ジョンソンていう人のギターと
ソリッドなリズム隊、そしてボーカル。
素直に「かっこいい〜!」って言える。

□ラムネ庵
いかにもロックという感じですよね。

□中島さん
だけどそれに対してNRBQの音楽はあまりにもカラフルなんです。

□ラムネ庵
いろんな音楽の要素が感じられますよね。

□中島さん
うん、ものすごくいろんな面があるし、ものすごく深い。
音楽的に言っても、ロックンロール、リズム&ブルース、ジャズ、カントリー、
あらゆるアメリカのルーツミュージックがいっぱい混じり合ってる。
おおげさかもしれないですけど、
NRBQっていう宇宙みたいなものなのかなと思うんです。
そんな宇宙みたいなものを短い言葉では表現できないでしょ?
よく彼らは世界一のロックンロールバンドって言う人がいるけど、
だけど単なるロックバンドじゃないんですよ。

□ラムネ庵
うん、何かがあると思います。そこを説明するのが難しいんですよね。

□中島さん
彼らを説明すること自体が、一つの型にはめ込んでしまうようで、
嘘になっていくような気がするんです。
エルビス・コステロとか
キース・リチャーズ(注:ローリングストーンズのギターの人)とか
ポール・マッカートニーとか錚々たる人たちが
NRBQのことを素晴らしいバンドって認めてて、
そういう人たちが認めてるバンドですよって紹介をする人も多いですね。

□ラムネ庵
しかし本当に不思議なバンドだなーと思います。
キャリアもローリングストーンズとかとそんなに変わらないくらい長くて、
いい曲もたくさんあるのに、
なんでこんなに有名じゃないんだろうと思いますよ。

□中島さん
うーん。そうですね。
それは僕は、マネジメントの問題だと思ってるんです。
キャリアの途中で、ベアーズビルっていう
結構大きなレーベルと契約したんだけど、
その時のプロデューサーが
ボブディランとかをかかえてた有名なプロデューサーで、
その人に飼い殺しにされてしまったところがあったんです。
それで、何年間もアルバムを作れない時期とかがあって、
あまりメインの選手としてポップ界に売り出してもらえなかった。
要するにタイミングを逸してしまってたんですね。
その後は、ラウンダーっていう小さなレコード会社に
移らざろうえなくなってしまって。

□ラムネ庵
ラウンダーってモダンラバーズとかジョナサン・リッチマンとか、
あんまり有名じゃないけど知る人ぞ知るっていう
ミュージシャンが所属してたとこですよね。

□中島さん
そうそう。いい音楽をやってるにもかかわらず、
そういう小さい規模での活動がメインだったから、
なかなか表舞台に出られなかったんだと思うんです。
だから今までちゃんとプロモーションしてもらってないと思う。

□ラムネ庵
そう考えると、音楽の世界ってプロモーションって
大切なことなんだなと思いますよね。
いくらいい音楽をしててもみんなが
それに気づかなかったらどうしようもない。
そういう意味では音楽業界って必要なもんなのかもしれないし、
こうやって中島さんが日本でのライブを
企画することにもすごく意義があると思います。
実際アメリカでのNRBQの認知度っていうのはどんな感じなんでしょう。

□中島さん
残念ながらいまだに低いですね。

□ラムネ庵
ふ〜ん。日本と同じような感じでしょうか。

□中島さん
まあ、ミュージシャンズミュージシャンというか、
プロのミュージシャンの間では評価が高いんだけど、
ライブを見に来ている人はだいたい30代後半以降。
若い人はあんまりいないですね。

□ラムネ庵
よほど音楽に詳しい人じゃないと知らないくらいの存在なんですね。

□中島さん
それは僕が思うにあまりにもカラフルすぎて、
逆にNRBQというとこれってものがないからだと思うんです。
それは売る側にとってはものすごい売りにくいことでしょ?

□ラムネ庵
まあそうですね。代表曲と呼ばれるものもないですしねぇ。
そういう柔軟な音楽性が
かえってマイナスに働いてしまったんですかね。

□中島さん
でもね、例えば土曜日の晩に見に行くライブ・バンドとしては
お客さんの望みというか、
求めているものを全部提供できるバンドだと思う。
演奏のクオリティーもむっちゃくちゃ高いし、
なにより見てる側を思いっきり
楽しませてくれるバンドって、他にそうないですよ。

□ラムネ庵
僕、CD聴いているだけでも元気になってきます。

□中島さん
そうでしょう?!確かにCDもすごくいいんだけど、
でもそれだけでは彼らの良いところの
ほんの一部しかわからないと思うんです。
だから僕はNRBQのよさを本当に分かってもらおうと思ったら
結局のところNRBQのライブを
見てもらうしかないかなと思うんです。
だからこそみんなにライブを観て欲しいんですよ。

□ラムネ庵
いくら楽しい楽しいって口で伝えてもね、
伝わらないところがありますよね。

□中島さん
一回ライブを見てから深くはまってしまう人って多いですよ。

□ラムネ庵
あっ、そうですか?
僕もライブを見てしまったらどうなるかわからないですね(笑)