第5回 その1


会社員として、ひとつの仕事が形になった時に、
「これからは自分のほんとにやりたい仕事で
がんばってみたい」って思った。




□ラムネ庵
まず、翻訳のお仕事を始められたきっかけからお聞きしようと思うのですが。

□中島さん
もともと音楽をやってて、
バンド活動を続けるにはどうしたらいいんだろうと思って始めた仕事だから、
最初に翻訳をしようと思って始めたっていうよりは
動機はちょっと別なところにあったんです。

□ラムネ庵
じゃあ、中島さんの生活のなかでは今も音楽が一番にあるんですね。

□中島さん
うん。昔音楽やってた人たちは、結構音楽を切り捨てて
仕事のほうに専念して、家族を養ってていう人が多い。
35、6になってくると。

□ラムネ庵
大学まででぱっと辞める人とかも多いですよね。

□中島さん
でも僕はそれができなかったんですよ。
学生時代はなんにも考えずに音楽をやってたけど、
でもやっぱり、卒業すると、就職とか結婚とか、
現実問題として突きつけられるものがいっぱいでてくるでしょ。

□ラムネ庵
ありますねー。

□中島さん
学校を卒業する時、僕もこれからは音楽続けられないなと思ってたんです。
そんな時に拾得のテリーさん(注:京都にある酒蔵を改造したライブハウス。
30年近い歴史をもち、京都のアマチュアバンドにとっては特別な場所。
店長はちょっとがんこなテリーさん)に、
ちょうど卒業する3ヶ月くらい前だったと思うけど、
「次からうちに出てもらわなくて結構です。」って言われたんです。突然。
えーと思ってびっくりして、なんでやろってしばらく考えた。
後から聞いたら、そんなに簡単に音楽辞めれるんだったら、
卒業してからじゃなくて
今やめなさいって言いたかったらしいんです。
その時にすごいガツンとやられた感じで。
あぁそうやなー。
音楽ってそんなに簡単にやめるもんじゃないなぁって思ったんです。
ほら、いったいどうやって生活してるんだろうって思うけど、
京都って自分の好きな音楽して暮らしてる人が多いでしょ?
だからちょっと大袈裟に言うと、あそこに出入りしてたことで、
そういう音楽に対しての考えが固まっていったっていうか。

□ラムネ庵
うん。僕もあの拾得の空間ってすごく好きです。
そうですねぇ。不思議な人たちがたくさんいますね。

□中島さん
僕も最初のうちは好きなことをお金に変えて生活したいって思ってました。
だけど、現実問題としてそんなことすぐできるわけじゃないし。
そこでやっぱり就職したんです。

□ラムネ庵
あーそうなんですか。

□中島さん
大きな化学会社。

□ラムネ庵
今のお仕事と全然違いますね(笑)

□中島さん
違う違う。6年間営業をやってました。
最初のうちは仕事をしながら音楽を続けて、
音楽の自分と会社の自分を
ぱちぱち切り替えるのがかっこいいと思ってたんだけど。

□ラムネ庵
今の僕の状態ですよね。(注:ラムネ庵も働きながらバンドをやっている)

□中島さん
だけど、会社にずっといたら責任ってだんだん増えてくる。
バンドに没頭すると会社に迷惑かけるし、
会社でがんばりすぎたらバンドできないようになったり。

□ラムネ庵
うん、僕にとってもそれが悩みの種なんですよー。もっと時間がほしい。

□中島さん
入社して2年目くらいかな。上司から
「中島くん、4月から四国行ってくれるかな」って言われたんです。

□ラムネ庵
え〜!

□中島さん
それもしょうもない人事でね。
誰も行く人がいないし中島にしたらいいんじゃないか、くらいのもので。
でもその時、僕には自分の住む場所と自分のやりたいことを選ぶ権利があると
思った。
だからそれだったら辞めさせてもらいますって言ったんです。
それで、結局その話は僕の後輩の所にいってしまったんですけどね(笑)

□ラムネ庵
あ〜。

□中島さん
その後に思ったのは、こんなことしてたらだめだってことでした。
サラリーマンとして会社のなかでやるんだったら、
会社のことをちゃんと受け入れなきゃいけない。
心ここにあらずでずっとやってるのは、
どっちつかずになるから会社にもよくないし自分にもよくない。
だからどうやったら音楽と仕事を
両立させられるかなぁって考え始めたんです。

□ラムネ庵
その時から翻訳の仕事を考えてたんですか?

□中島さん
音楽が好きだから、レコードジャケットの裏とかよく読んでました。
英語には前から興味があって、
高校の時も、学校の勉強とかも結構好きだったから。

□ラムネ庵
じゃあ大学で英語を勉強してたわけではなかったんですか?

□中島さん
全然違います。会社生活の残り4年間くらい翻訳学校に通って
勉強しました。

□ラムネ庵
会社終わったあとから?

□中島さん
そうそう。
でも逆にそうやってわりきったら会社の仕事が面白くなってきて、
最後の2年くらいはほんとに仕事に打ち込みましたね。
ほら、ナンバーズって宝くじあるでしょ?

□ラムネ庵
はいはい。

□中島さん
買った時に瞬時に番号が打ち込まれて紙が
出てくる仕組みになってるんですけど、
その表面に特殊な樹脂が塗ってあって、
触っても手に全然インクが付いたりしないようになってる。
その樹脂を技術の人と開発したんです。
その仕事はすごく面白かった。
そうやって、一応ひとつ仕事が形になった時に、
自分のほんとにやりたい仕事でこんだけがんばれたら
面白いのになって思ったんです。
それからますます自分で何かしながら
バンドできないかなって考えるようになって。
もともと音楽ではプロになる気はなくて、
まあ言ってみればウィークエンドスターというか、
週末に拾得みたいなとこで演奏して、お客さんをたくさん集めて、
その代わりあいつらのライブいったら絶対おもろいって言われるような、
そういうのがずっと理想だったから。

□中島さん
でもまだ問題があったんですよ。
今度はその時付き合ってる彼女がいて、
結婚するとかしないとかって話になったんですけど。

□ラムネ庵
あー、それぐらいの年齢だとねぇ。

□中島さん
一応、一部上場企業だったから、そこに勤めてたら安泰なのに
僕は会社を辞めようとしてた。
付き合ってる彼女の親御さんからしたら、
これからわけのわからん翻訳みたいな仕事をしようという奴と
結婚させるなんて心配でたまらなかったんだと思います。
でも辞める前に結婚して、ぱっと仕事辞めたら詐欺みたいなもんでしょ?(笑)

□ラムネ庵
そりゃそうですね(笑)

□中島さん
だから辞めた自分で、結婚するんだったらする、
ふられるんだったらふられるでしょうがないなと思って
6年目に、ちょうど30前の29の時かな、会社を辞めたんです。
結局、今の奥さんはついてきてくれたんですけどね。感謝してます(笑)
その辺が一番大変なとこだったな。

 

 

 

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時間:open18:30/start19:30  
前売り¥6500+1drink(¥500) / 当日¥7000+1drink(¥500)
チケットご希望の方は、中島さんのページ
http://www.hcn.zaq.ne.jp/cacfg408/
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