第4回 その2


気持ちいい、というのには2つあると思うんです。
「快適」と「感動」。
「感動」を大切にしたいんです。

 
D's hut(喫茶店)


□うえやま
この場所をつくっていくにあたって、何かこだわりは
持っておられるのでしょうか?

□焚火小僧さん
ホームページのタイトルにもあるように、
来てもらった人に、気持ちがいいと感じてもらえれば、
それが一番です。
あのー、気持ちのいいというのは、
ふたつあるとぼくは思うんです。
「快適」と「感動」。
で、ウチの気持ちのよさは、感動のほうをとりたいんです。

この裏手の雑木林のなかで、
キャンプできるようになってますけど、
最近のキャンプ場の中には、
何から何まで整っている所があるでしょ。
快適すぎて、ホテルに泊まっているのと同じようなところ。
そういうふうにしてしまうと、
後に何も残らない気がするんです。
だから、うちでは、そういう風にはしたくない。

□うえやま
キャンプサイトに水道から、コンセントから、電話線まで
整備されているようなところもありますもんね。

□焚火小僧さん
そうそう、そういう風にはしたくない。
朝、鳥が鳴いてね。鳥のさえずりで、起きるとか、
テントをあけたときに入り込んでくる風が
夏の草の香りを運んできてくれたり、
そういった感動がないと・・・。
そのかわり不自由もありますよ。
それを不自由と思うかどうかというのは、
キャンプが好きかどうかに関わってくることなんでしょうけど。

□うえやま
非日常的な体験をしたくて、キャンプするわけですからねぇ。

□焚火小僧さん
そうです。
キャンプしにいくのにね、なぜ快適を求めるのか、
というのに、ものすごく疑問があるんです。

□うえやま
ぼくもそれは疑問にも思います。キャンプにきて、
家と同じことをできるようにすることが、
どれほどの意味を持つのかって思います。
自然のなかでキャンプするから味わえることを、
もっと大切にしたほうがいいのに。
そう思いますよね。でないと意味ないですもん。(笑)

□焚火小僧さん
今のお子さんや若い人の中には、そうやって自然の中に
いることを嫌う方がいるでしょ。
虫がどうだとか、暑い、寒い・・・・ねぇ。
まぁ、そんなヒトは一度来たら
次からは来られませんけど・・・。(笑)

 

□Aさん
それにしても、ここは仲間が減りませんね。
増えていくばっかりとちがいますか?

□焚火小僧さん
リピーターが多いですね。
宣伝はいっさいやってないんで。
あと、インターネットの検索で見つけて
来てくれている人が多いです。

□Aさん
ここに来る人はねぇ、次来たときは、
自分のホームグラウンドみたいな顔をして
くるんですよ。友達なんかを連れてきてね。
不思議ですよ。
いつの間にか仲間になっているような
そんな気分になるんです。

□焚火小僧さん
多分、遺伝子のなかに、
よく似た遺伝子が組み込まれてるんですよ。
ここに来る人は・・・(笑)

□うえやま
この場所が人を引きつけるここの魅力っていうのは、
いったい何なんでしょうね。

□焚火小僧さん
やっぱり自然でしょうね。
Aさん
それもあるけど、ぼくらから見てたら、
オーナーの人柄もあると思いますよ。

□焚火小僧さん
いや、そんなことない・・・(笑)

□Aさん
なんていうか、何でも受け入れるような気持ちがあるんですよ。
ぼくなんかは、外からみてて、そんな風に思うねぇ。

□焚火小僧さん
いや、ぼくも嫌なお客さんはいますよ。

□うえやま
そのAさんが言われる何でも受け入れる大きな気持ちって
どういうことなんでしょうね。
小僧さんは怒ったりは、しないんですか?

□Aさん
ぼくは30年くらいつき合ってるけど・・・、
えっー、怒った顔をみたことないんじゃないかな。
覚えがない(笑)

□うえやま
いや、30年つき合ってて、怒った顔を見たことないというのは、
すごいですね。

□奥さん
(奥のほうから)
そんなことないよ。

□全員
(爆笑)

□焚火小僧さん
いや、合わない人は、全くあわないですよ。
焚火をやってても、合わないひとは、次から
絶対来られませんからね。
でも、ここは、ほんまにええわぁ、っていう人は、
来るなと言っても しょっちゅう来ますから。(笑)

□うえやま
やっぱり、快適さはないけれど、
ここのなんとも言えない自然の心地よさと、
オーナーの人柄が、迎える人に気持ちよさを
与えているのかもしれませんね。
毎週土曜日の夜は焚き火をされているそうですが、
だいたい何人ぐらい集まってされるんですか?

□焚火小僧さん
多いときで20人くらいかな。
5〜6人というときもあるし、一人のときもありますけど。(笑)
あと毎年ね、焚火を囲んで小さなコンサートをやってるんですよ。
焚火コンサートっていうんですけど。
「木こりのローソク」(※)をいろんなところに付けて・・・
いい感じですよ。

□Aさん
前回はコカリナやったよね。

□うえやま
木のオカリナでしたっけ?

□焚火小僧さん
そうです。あれも、ここにたまたま夫婦で来られた
お客さんだったんです。
それで、いろいろ話をしているうちに、
コンサートをお願いしていただけることになったんです。

□うえやま
この場所のコミュニケーションの中心は焚火なんですね。

□焚火小僧さん
そうですよ。ここから焚火をとったら
抜け殻みたいものです。(笑)

□うえやま
ログや雑木林がD's woodの体だとしたら、
焚火スペースはD's woodの心ですね。

□焚火小僧さん
うまいこと 言いますね!そうです。
ここが中心なんです。(笑)
焚火は文化であって、自然なサイクルの手段であり
そして、人を和ませる力があるんです。
ホント、いいですよ。

□うえやま
一度、参加させていただきたいですね。

□焚火小僧さん
来る人はこばまないので、いつでも誰でも来てください。
ときどき全然知らない人がいたりすんですね。
不思議ですけどねぇ。
知らない人がいるけど、まぁいいっかみたいなね。

□Aさん
顔は覚えているけど、誰だったかなぁ
という人もいます。でも、まぁお酒を酌み交わせば、
いつの間にか仲間ですから。

□焚火小僧さん
どこから来たのかとか、一切聞きませんしね。
今、ここで楽しい時間が一緒に過ごせればいいわけですから。

□Aさん
雨が降ったらシートを屋根代わりにして、
焚き火することもあるけどねぇ。
煙にまかれながら、涙流しながら・・・(笑)

□うえやま
焚火は夜遅くまでされるんですか?

□焚火小僧さん
最近はみんな疲れてきてねぇ。
昔は、空が白んでくるまでやったときもあったけど。
今は、長くても2時くらいまで。
気候がよければ、その場でそのまま
思い思いに寝てます。

□うえやま
えっ、寝袋とかテントとかじゃなくて、ですか?

□焚火小僧さん
夏であれば、そのまま寝てますよ。
究極の寝床は 星を眺めながらの野宿ですよ

□うえやま
でも、蚊に刺されて大変じゃないですか?

□焚火小僧さん
ここらへんはね、蚊がいないというと、言い過ぎですけど、
蚊はホント少ないです。この喫茶店を建てるまでは、
蚊はいませんでしたから。
人が出入りするようになってから、蚊が出てきた。
水をためておくとだめなんです。
それでも、住宅地と比べれば、全然少ないですよ。

□うえやま
外で、そのまま寝るのは、体験したことないです。
一度、体験してみたいですね。

□焚火小僧さん
あと、ここでのキャンプは、秋が一番いいと思います。
すごく星がきれいなんです。
テントを張って寝るのがもったいないって、
寝袋だけで寝るお客さんもいますよ。

ここは、琵琶湖がすぐそこにあるでしょ。
琵琶湖は真っ平らでしょ。これほど広大で真っ平らな土地は
日本ではいえば、滋賀県と北海道くらいなんです。
周囲に光がまったくないですから
星がよく見えるんです。
ホントきれいです。

お客さんのなかで、これまで八ヶ岳に
星を見にいくっている人がいるんですが、
ここで星をみるようになってから、別に八ヶ岳まで
行く必要がなくなった、というくらいにきれいなんです。
いや、マジで。(笑)

特に秋から冬にかけてがきれいですね。
これも、さっき言った感動なんです。
最近の若い人には、そういう感動が
薄れてきたんじゃないかなと思いますね。

□うえやま
自然に触れることでの感動ですよね。

□焚火小僧さん
そうです。
虫が多いから嫌だとか、
寒いから、暑いからどうだこうだ、っていうけど。
快適と感動のふたつが、両立するわけがない。
ぼくはそう思います。
快適な場所にいて、感動は得られないですよ。
もし両立させようと思えば、中途半端になってしまいますから。

まぁね、星降る夜をここで体験されたら、虫がどうだとか、
そんなことどうでもよくなりますよ。(笑)