第3回 その5

 

陶芸家として一番油の乗るのは60代。
歳を重ねるごとに、なんとも言えない味わい深さが、
作品に現れてくる。

□うえやま
陶芸の世界は世襲の力が強いということですが、
二代目、三代目の人は多いんですか?

□喜多さん
上へ行けばいくほど、多いです。
親が大きければ、この世界では
食べていけるんです。

□うえやま
そんな厳しい世界に、飛び込まれたわけですね。

□喜多さん
だから、自分が初代になる。
ただ、40代というのは若手です。
先生と呼ばれるのは、50〜60代。
それくらいにならないと、
良い作品はなかなかできない。

□うえやま
そうすると、陶芸家として活動されているなかで、
喜多さんは、若手のなかの若手になるわけですね。

□喜多さん
もう、ピチピチ・・・。(笑)
40代でも、脚光を浴びている人はいます。
公募展とかで賞をとってね。
しかし、陶芸家として一番油の乗るのは
60代でしょう。

□うえやま
会社員であれば、60代といえば、
定年を迎えて、第二の人生を出発させる時期です。
人生のなかで、もっとも華々しい時期は
終わっていますが、そのとき
絶好調というのは、すごいですね。

□喜多さん
焼物では、その年齢が一番良いと思います。
やはり歳を重ねるごとに深みが出てくるから。
なんとも言えない味わい深さが、作品に現れてくる。
歳月に洗練されていくのか、
間違いなく良い物ができるようになります。

□うえやま
前回のインタビューは、樹医を志す人だったんですが、
その人も同じようなことを言ってました。
20代や30代では、まだまだ樹は語れない。
40代になって、少し語れるようになってくるだろう。
というようなことをお話されていたんです。
最近は、そういう世界のほうが、健全じゃなのかと、
思うようになってきました。
その人が作り出す作品の背後に
歴史が見えるというのでしょうか。

□喜多さん
コピーライターやデザイナーというのは、
必ず盛衰があります。
職種として寿命が短く、
年齢とともに衰えてくるものはどうしようない。
しかし、こういった世界は、
やり続けることに意味を見いだせる。
そういうところも、また魅力です。

□うえやま
陶芸家として油が乗るのが60代ということですが、
どんな60代になりたいと思いますか?

□喜多さん
納得のいくものを作れるようになりたいです。
それで食べていければ、いうことはありません。

□うえやま
最後になりましたが、
日々の暮らしのなかで、大切にしていることは
どのようなことでしょうか。

□喜多さん
やはり、日本人としての心です。
日本の風流を解する心を持つこと、
そういった意識は、大切にしています。
あと、卑しいことはしない。
10円玉が落ちていても、拾わない。

□うえやま
500円ならどうですか?

□喜多さん
人が見てなかったら拾います。(笑)
何か迷ったときは、卑しくない方を
選ぶことにしています。
これに尽きますね。(笑)

□うえやま
ありがとうございました。

 

 


喜多昔先生について

現在、自宅敷地内の工房で活動中。
作品は、天目と灰釉が中心。

最近では、菓子鉢、花入れ、酒器の制作に
取り組んでおれらます。
作品の一部は、兵庫県川西市水明台「ギャラリー香綵」に
展示されています。


<ギャラリー香綵>
〒666-0116
兵庫県川西市水明台1-2-2
TEL/FAX. 0727-93-2710
営業時間:AM10:00〜PM6:00
定休日:水曜日

なお、作品オーダーも受付中です。
詳細は、上山までご連絡ください。