第2回 その7

 

ぼくは、治療している樹に
逆に癒されている。
本当にそう感じるんです。

□うえやま
木が寿命を待たずして枯れてしまったり、
腐ってしまう原因は
どこにあるんですか?

□盛田さん
う〜ん、寿命・・・
多分、環境さえ整っていれば、
樹木は何百、何千年も生きていけると思うんですが、
そうなる前に枯れるというのは、
台風とかで倒木してしまうケースを除けば、
いろんな意味でバランスが崩れるから
枯れるんでしょうね。

□うえやま
具体的にいうと?

□盛田さん
土壌障害もあれば、大気汚染もあるし、
虫害、薬害、獣害など、たくさんあります。
もちろん、工事で根っこ傷つけたり、
むやみに樹を移動したりするとか、
人災と思えるものも数多くありますよ。
そう負荷や傷を受けると、木の中のバランスが
崩れて、枯れていくんです。

簡単な例なんですけど、
仮に工事なんかで根っこを
切ってしまったとしますよね。
これもバランスが崩れる原因になります。
どういうことかといいますと、
根っこが切れてしまっても、
葉っぱは今までどおり蒸散を続けます。
水分を発散するわけです。
でも、下からは、根っこが切られたために
今までのように水が上がってこない。
すると、水分が足りなくなって枯れてしまう。
だから、根っこを切ってしまったら、
その分だけ上の枝も切ってあげる。
そうすると需要と供給のバランスが
とれるんです。

□うえやま
そんな仕組みになってるんですね。
吸収する量と発散する量のバランスで
生きている。
それが、崩れると枯れてしまうんですね。

□盛田さん
木が養えない枝から枯らしていきます。
この例も、1つのバランスですよね。
あとね、根っこを切ってしまったとき、どの枝が
枯れるてくるか、だいたいわかるんです。

□うえやま
それはどうやって?

□盛田さん
根っこから上がっていく通導組織、
まぁ血管だと思ってもらったらいいです。
それが、ラセン状にまわって枝までいくんです。
右巻きのラセン、左巻きのラセン、
木によって違いますが、
だいたいそういうふうに、
つながっているのです。

ケースとして多いのは、
根っこと反対側の枝とつながっていることが多い。
今度、身の回りある木の幹をじっ〜と、
注意深く見てみてください。
樹皮の模様がラセン状になっているものや
幹の盛り上がり、デコボコがラセンに
なっているはずです。
それが通導組織です。
わかりやすいものと、
そうでないものがありますけどね。
それをたどると、根っこと枝の
関係が見えてきます。
面白いでしょ。

□うえやま
今度見てみます。

□盛田さん
樹を治療するというのは、
できるだけ、その樹にとって
良いバランスに保てるように
環境を整えてあげることなんです
それと、早期治療が大切ですね。
治療費も安くて済みますし。

□うえやま
人間といっしょですね。
早期発見、早期治療が大切だと・・・。

□盛田さん
そうですね。
あと、ちょっといいですか。

□うえやま
どうぞ。

□盛田さん
個人的なことなんですが、
僕の内的なことで・・・。
この仕事をしていて、しばらく2、3年は、
ぼくは樹の治療をしていると思っていました。

でも今は、樹、この仕事、
一緒に仕事をしている仲間たちに
助けられてると思っています。
自分の抱える悩みやイヤなところ、
ショッキングな出来事にあったりした時、
実際、ぼくにはかなりしんどい時期があったんですが、
そんなときに、
この仕事に救われてるって思ったんです。
救われてるどころか癒されてる。
治療している樹に癒されるなんて
不思議ですよね。
でもホントにそんな気持ちなんです。