第2回 その15


人は周囲の動植物がなければ
生きていけないですけど、
彼らにしてみれば、
別に人間がいなくてもいいんです。

 

□うえやま
盛田さんは樹木治療の仕事と環境ボランティアを
平行してされていますが、
スタンスとしては、同じなんでしょうか

□盛田さん
難しいですけど、樹木の治療と、環境ボランティアとでは、
自然との共生という最終的な目的は同じなんですけど、
関わり方がぼくのなかでは違うような気がします。

前にも言いましたが、日本の場合、神聖な場所ってどこかというと
ぼくは、ご神木とかがある神社やお寺に多いと思うんです。

そういう場所にかかわる仕事がしたかったので、
現在樹木の治療をしているのですが、
私たち人間が、一本の木を治療する仕事を創造できるまで
至ったことは、ホントに素晴らしいことだと思います。
ご神木があるような場所にいって、
樹を眺めながら、風の音を聞きながら
傷んだ樹を治療することで、自分も癒された気持ちになって、
気持ちがスカッとするんですね。
すごく内面的な部分での付き合いっていうか…。

□うえやま
つまり、樹の治療ということで木々と接する場合は
自然保護のような社会的な枠組の中での取り組みでなく
盛田さん自身の心のよりどころ、ひいては人々の
心のよりどころというような、非常にスピリチュアルな部分での
自然との関わりということになるんでしょうか。

□盛田さん
そうだと思います。
だから、環境ボランティアでは、直接自然に対して、
どうこうしようと働きかけますけど、
樹木治療は一本の樹を治療するプロセスにおいて、
内面の部分に働きかけるものだという気がします。

□うえやま
では、環境ボランティアについては、
どういった姿勢で取り組んでおられるのですか

□盛田さん
あのー、山のなかを歩いていた時、
ふと頭に浮かんだかことがあったんです。
どういうことかというと、環境問題についてなんですが
ぼくは、それまで、環境問題というと、
地球がかわいそうだというイメージで
向き合っていたんです。
もちろん、そういう気持ちは今でもありますけど
そういう姿勢では、この問題は解決していかないだろうなと
思うようになったんです。
何百年、何千年の間、土の中で眠っていた植物の種子が
発芽するって知ってました?

□うえやま
いや、知らないです。

□盛田さん
するらしいです。
だから、人が地球をムチャクチャにしてしまっても
彼らはまたゆっくりと時間をかけて
再生していくんじゃないかなぁって。

人は周囲の動植物がなければ生きていけないですけど、
彼らにしてみれば、別に人間がいなくてもいいんです。
全然困らないんじゃないですか。

そう考えた時に、地球がかわいそうという視点ではなくて
「自分が困る」もしくは「私達が困るから」という視点で
接していかないと、人類が絶滅しちゃうかもしれません。
自然はぼくらよりも遥かに高度に進化しているように思います。
人がレッドデータブックに載る前になんとかしないと。(笑)

□うえやま
人類が作ったレッドデータブックに自らを載せてしまう。
なんか滑稽ですが、面白い表現ですね。

ぼくも、盛田さんの考え方に賛成で、
自然よりもむしろ、人間自身の利害を考えたほうが
多くの人に理解されやすいと思います。
何十億年生きてきた地球が、人間の仕業ごときで
潰れるはずありませんもんね。
というより、人間も動物も鉱物も
いってみれば最小単位は原子なんですよね。
その組み合わせパターンによって、
見え方が変わっているだけであって、
源はきっと同じなんです。
地球はひとつの大きな生命体なんでしょうね。
だから、人間がいなくなっても、
その分子構造を変えて違う生物が
生まれてくるんだと思います。
だから、環境保護は、地球のためじゃなく、
人間のためだという考え方は、わかりやすい
ような気がします。

□盛田さん
だからというか、なんというか
せめて、のちのち自分たちが困らないようにと
身の回りのことだけでもしようかなと思って
環境ボランティア「都市近郊の森を育てる会」を
やってるって感じですね。
そんなに意気込んでやってるんじゃないですよ。
あんまり、そんなことばっかり考えてたら
息が詰まっちゃうじゃないですか。
ぼちぼちできることをやっていきたいと思っています。

□うえやま
できることからぼちぼちって、いいですね。

□盛田さん
義務とかそんなんじゃ続かないです、楽しくないと。
自然と関わることが楽しめる人が増えれば、
山は変わって行くと思いますよ。

□うえやま
ありがとうございました。

 

 


盛田さんからのコメント

かなり長いインタビューをここまでわかりやすく
(専門用語とかあったのに)カタチにして頂いた
上山さんに感服しています。(照れるなぁ・・・うえやま)
この場を提供してくれた上山さんと
最後まで読んでくださった皆さん、
ありがとうございました。
そして次の方には長くなってゴメンナサイでした。

しゃべりすぎの盛田 でした。

 

 

 


あとがき

15回にわたる長丁場になりました。
ちょっと、長かったかなぁ。
でも、興味深い話しがいろいろ聞けたと思います。

樹について、少し興味をもってもらえたでしょうか。
神社やお寺の大きな樹を見たら、
盛田さんが言ってたことを思い出してもらえれば、
想像が広がるかもしれません。

 

今回、盛田さんの話しを聞きながら、
心に強く残ったのが、
自然との向き合い方でした。
自然を保護するとか、救うというような考え方ばかりでなく
自然に依存するという考え方も必要なんだということ。
この部分を取り戻さない限り、
自然との距離感は変わらないだろうと思いました。

どう考えても、人間が自然に勝てるわけがなくて、
人間が絶滅しても自然はいくらでも再生するけど
自然が一瞬でも壊滅状態になれば、人間は生きていけない。
だから、自然を救うためという視点だけじゃなくて、
自分たち人間を守るためにも、自然との共存を
考えていかないと、危ないよということなんだと思います。

自然との付き合い方の第一歩は、
自然と遊ぶことだと、盛田さんは言っておられました。
楽しむこと、興味をもつこと。
だいじですね。

もっと話しを聞きたかったのですが、
インタビューはこれでおわりです。

で、引き続き、盛田さんには、月に1回程度、
コラムを書いていただくことになりました。
また、いろんな話しを教えてくれると思います。
楽しみにしていてくださいね。

あと、自然のこと、樹のことでわからないことがあれば、
気軽にメールしてみてください。
盛田さんは、仕事の都合上、全国に出張にいかれることが
多いですが、合間をみて答えてくれるはずです。