ローリングサンダーを訪ねて 3

 まさかボブ・ディランの弾いていたギターを持って歌を唄う事になるなんて。とんでもない事になってしまった。しかしその緊張感とは裏腹に、ギターを手渡された時何か不思議な感覚を覚えた。とても自然に唄を口ずさむ事が出来そうなそんな気がして、僕は以前に作った自分の曲のメロディーを口ずさんでいた。
 「Beautiful! 素晴しい。今の歌はなんという曲だ?。もう一曲唄ってくれ。」
 僕は心の底から湧いてくる不思議な力に任せ、続けて何曲か歌った。
すでに2台のカセットプレイヤーの録音ボタンはONになっていた。

 「Beautiful!あなたの歌を聞けてとてもうれしい。この辺で日本から来たこの青年達に私からの称賛を送りたいと思います。彼等はこの私ローリングサンダーに会うために、はるばる日本から来たのです。とても光栄に思います。ここで歌われたこれらの歌を、彼等の国へ持ち帰ってもらいたいと思います。こうして世界中から集まった人達と一緒に私たちネイティブピープルの中に、彼等を向かえることが出来て光栄です。たった今美しい音楽が聖なる口を通して歌われました。日本には富士山があります。私達にとって日本はとても親しみ深い感じがします。慣習や食べ物のうちいくつかは、我々の物と似通っています。音楽の中にもよく似た物があるように思います。このような曲を聞くと、風が木々の間を吹き、水が聖なる流れを作る美しい国を思い浮かべることができます。音楽がもう一度世界を一周するのを見たいと思います。それは人々の心を癒し平和をもたらします。仲間にも一人一人の人間にも良いことをもたらします。音楽はパワフルな物です。昔、音楽はドラムと共に演奏されたものでした。またいつの日かそうやって演奏されるでしょう。今はギターだけでもごきげんだ。マイティーグッド!!!さあ、もう一曲聞かせてください。録音して世界中を回らせましょう。次は日本の自然についての歌を聞かせてください。木々や山や川、鳥、動物、山々、日の出の歌を聞きたい。日本で歌われているように歌ってください。」

 そう言われてしばし考えこんでしまった。自然の歌か、
今まで色々な歌を歌ってきたけれど自然についての歌といわれてすぐに思い当たる曲は一曲もなかった。うーん自然の歌か、何かなかったっけ。ヒラタ氏と顔を見合わせ、あーでもないこーでもないなどとしばらくの間考えていた。そのうちにある曲がひらめいた。そうだ。富士山だ。!
 「Mt.FUJI. 富士山を知ってますか。?」
 「勿論知っているとも。聖なる山ですね。」
 「そうです。 O.K それじゃ富士山いきます。1、2、3、4 あ〜たま〜を、く〜も〜をの〜」
 真面目に富士山を歌ったのはいったい何年ぶりの事だろうか。うろ覚えの歌詞を必死に思い出しながら何とか最後まで歌うことが出来た。
 「この歌は富士山は日本一の山だ。という歌です。」

 「一番の山ですか。聖なる山ですね。とても美しい歌です。よくわかりました。ありがとう。

ここで日本に住む人達と、
世界中の人達にも
話をしておきましょう。

歌を歌ったり
楽しい音楽を奏でることは、
とても良い事なのです。
音楽を聞くだけでも
気もちよくなれるし、
心が平和になり
幸せな気持ちになれます。

人生で一番大事なことは、
皆が幸せであることです。
病気の半分以上は
幸せになることで治ってしまう。
どんな種類の病気も、
幸福によって癒されるのです。
そうすれば世界中が再び平和になり、
皆兄弟として振る舞うようになるでしょう。

私達失われた民族は、
いつも
お互いを
気使い合わずには
居られなくなるような、
本当の価値というものを
知っています。

インディアン同志の
最初の挨拶では、
『今日は何を食べましたか。』
と言います。
他の国のネイティブの挨拶も
起源は同じだと分かっています。

私達はお互いに、
客人に対して礼儀正しく親切に
振る舞うべきなのです。

また彼等を助け、
同時に友好的でなければなりません。
自分達と違う人々と知り合うようになると、
彼等の望む物が何であるかを
理解するようになり、
お互いに争う必要も無くなります。

なぜなら、
私達はまったく同じ問題を
抱えているだけだからです。

世界のどの地域に行っても
文明社会にはストレスが多すぎます。
しかしこのようなストレスは
音楽によって解消できます。
良い音楽に耳を傾けている時に
厄介な事を思い出すのは
難しいものですから。

それと良い食事があれば
なおさらです。

インディアンは
もし食べ物が無ければ、
一握りの豆とか
その辺で手にはいる物で、
料理を作ります。
それが煮えている間に、
良いバイブレーションを
食べ物の中に入れる事が
出来るからです。
悲しいと感じていたり、
病気だったりする人には
料理させません。
それは禁じられています。
食べ物の中に
悪いエネルギーが入るのを
避けるためです。

私は、ドイツ、オーストリア、
スウェーデンなど
言葉の異なる国にも行きました。
スウェーデン北部に住む
ラップラット人と呼ばれる
人達にも会ったのですが、
彼等の太鼓や衣服は
私達アメリカインディアンの
いくつかの部族のものと、
ほとんど同じ物だったのです。
音楽もそうです。
外国の歌なのに
私達の歌と同じだったのです。
人々の魂が音楽や、
アートの形で表現されたのです。

音楽を聞けば、
何をしているかどんな生活をしているか、
すぐに分かります。
どんな食事をしているかを見れば、
どんな暮らしをしているかが分かります。
それが言葉です。
ある時、この土地で二人のインディアンが、
向かい合って座っていたことがあります。
一言もしゃべらずにです。
しかし彼等は、
コミュニケートし合っていました。
会話があったのです。
最後に
いつも持ち歩いているピースパイプを出して、
四つの方向に向けて
煙りをふかしました。
それから立ち上がって
それぞれの方角へ歩き出しました。
言葉は一言も交されませんでした。
まるで動物達のするように。
彼等は
本当のコミュニケーションを
知っていたのです。

さて、またこの辺で歌を聞きましょう。
未来のよりよい生活を歌った歌なら、
どんな歌でも聞きたいのです。
それは私達みんなが求めている生活です。

これまでは、
私達インディアンにとって良くない時代だった。
だが今、古い価値を見直すときが来ました。

古い価値を近代的なやり方と共存させて、
日本を含めて世界中の人達が、
より良い生活を送ることが出来るのです。
しかも平和にです。

HO!

この青年達は、
平和や他のよい事について
たくさん歌ってくれました。
それにラブソングも素晴しかった。

けれども、
愛は自然のすべてに向けられるものです。
動物達やイーグル、他の鳥達、
それから母なる地球そのものに
向けられるのものです。
このような愛が
もっと語られねばなりません。

彼はたった今
富士山の歌を歌ってくれました。
日本の聖なる山です。
本当に美しく、
同時に力強くもあります。
若い時に戻って
もう一度恋をしているような気分です。
けれども愛とは、
すべての存在に向けられるものです。
それを忘れてはなりません。

愛とは
セックスとか、
異性に対する事だけではなくて
生命あるものすべてのためにあるのです。

これが、
日本の人達と世界中の人達への
私からのメッセージです。」


注)上記ローリングサンダーのメッセージ部分は、「ローリングサンダー/メディスンパワーの探求」の翻訳者である北山耕平氏に改行編集していただきました。