2006/7/12  #9

野風組曲   第9章

パスピエ


いつの間にか朝になっている。さて、昨日の体験はどこからどこまでが実体験だったのだろう。もしくは、すべて夢か幻か。いや、これだけは確かだ、M専任のヅラが宙を舞ったのだけは、実際にあった出来事であり、それは事実なのだ。

朝食をとり、意気揚々と渦潮を見に出かける。気のせいか体が軽い。ムチウチもほぼ治ったのではあるまいか。観光案内のパンフレットによれば、朝8時頃に干潮になる予定である。小さな港からパワーボートに乗って渦潮ポイントまで来る。ところが昨日の雨のせいか、波が荒い。荒過ぎて渦ができん!そんなことがあるのだろうか。なんてこった、しかし、これがまた迫力モノである。太平洋側からザザザザと波が押し寄せてくる。それがちょうど鳴戸大橋の下でぶつかる。思わず、ボートの手すりにしがみつく。自然のエネルギーはすごい。

少し雨に降られながら、鳴戸大橋を渡り淡路島へ。その途中クラッチレバーのボルトがついに折れてしまった。気にはしてたんだが、・・・ホントに帰れるのだろうか。

洲本のインターチェンジで高速を降りる。洲本市で、フェリー乗り場を探すが、そこのオヤジが、「ダメダメ、そこの28号右に行って、津名へ行って」。?。言われるまま、100mくらいバイクを走らせてから、引き返す。やはり何のことなのかさっぱりわからないので、もう一度聞いてみる。結局、そこ(洲本)では、カーフェリーはやっていなくて、北の津名町に行くしかないそうである。納得。ぎりぎり出航の時間セーフで津名町にたどり着く。フェリーに乗り込む順番の最後尾に並び、ようやくバイクを船に固定してもらう。やれやれ、これで一安心、自販機でビールを買い船尾のデッキに腰掛け、ごくりと飲み干す。ぷはぁ、昼間っから飲むビールとは、どうしてこんなに贅沢な気がするのだろう。港から遠ざかるときの、「ようこそ淡路島へ」の看板が印象的であった。この頃には、お天気ぽかぽか。島を尻目にこっくりこっくり、気持ち良く居眠り。

再び、本州へ。四国の人や、他の島に住む人は、内地と呼ぶ、なぜなのか。和歌山県深日町入港。そこからずっと橿原のFさんちまで、渋滞の道をすり抜けて行く。が、あいにく外出中。「遠慮せんで、帰りも寄ってけよ。」の御言葉にちゃっかり甘えようという魂胆なのだ。まぁ、いっか。あつかましく帰宅を待っているのも具合が悪いので、そのまま東京へ帰る支度を整える。また天気が崩れてきそうだ、雨合羽を着用。長距離ドライブの始まりだ、気合を入れなおさなければ。さぁて、行くか。と思った瞬間にFさんのお帰り。複雑な心境だったが、じつは嬉しかった。来る時、目印になったトイザラスを冷やかしに行き、今晩飲む酒を買って帰る。孤独だった旅の反動からか、夜中1時頃まで話し込んだらしい。人の日常生活に触れて、なぜかほっとしたのだった。

5月4日、本日の出来高。鳴門から、橿原まで走行距離150km。給油1回。明日でこの旅も終わるのか、なんだか複雑な気持ちだ。