2003/10/21  #9

紅葉のしくみ 〜その1〜

私の持っている古い広辞苑にはこう書いてある。
【紅葉】秋に葉が紅色に変わること。また、その葉。細胞
の液胞中のアントシアンが増し、葉緑素が分解するために
おこる。カエデ・ウルシで著明。もみじ。

また、老練の植木職人に
「なんで落葉樹って紅葉するんでしょうね?」と聞くと、
「んん?そりゃぁ、木ィがな、恥ずかしがっとるからや。
ほれ、女の人でもスッポンポンになる前に、頬がポッと赤
うなるやろ。あれあれ、あれといっしょや。」

違うような気がするので、自分で調べてみることにした。
今回は紅葉のしくみ(全2回か3回)について取り上げた
い。

紅葉というと、秋になって葉っぱの色が美しく変色してく
ることをひっくるめて使っているが、昔は少し違っていた
らしい。もみじという言葉は、色をもみだすという意味の
「もみづ・もみいづ」から由来した言葉で、古くは万葉の
時代から使われていたそうだ。もみじすると。しかし、そ
のころのもみじには黄葉の字が当てられているので、黄色
が主流だったのかもしれない。平安時代ころからもみじは
紅葉になり、葉っぱが赤くなる落葉樹たちが愛でられるよ
うになった。

紅葉の前提として、落葉樹について簡単に触れたい。
葉っぱは植物が生きていくためのエネルギーを生産・合成
する工場である。ソーラーパネルだと思ってもらうといい
かもしれない。そのソーラーパネルが効率よく光合成をし
ていくには、太陽(光と温度)と水と二酸化炭素が必要だ。
しかし、冬や乾季のある地方では水分が確保できなくなる。
薄い葉は凍ってしまったりもする。エネルギー生産の効率
が悪い上に、乾燥すると葉の裏からは水分がどんどん奪わ
れていく。根から吸収する水分も期待できない。それなら
ば、秋から冬・雨の降らない乾季などは工場を閉鎖し、ロ
ングバケーションをしたほうがいいサ、と決断した樹木た
ち。それが落葉樹だ。
そして来春に展開するための芽(冬芽)だけを残し、工場
のみんなは「お疲れさん」と言われ、解雇される。だが、
ロングバケーションをするためには蓄えをたっぷりとして
おかなければならないし、春に展開するためのエネルギー
も確保しておく必要がある。なので、この時期の樹木たち
は豪遊せずに活動レベルを極力抑え、ほそぼそと暮らして
いる。

いっぽう、常緑樹とは一年を通して葉っぱが青々と繁って
いる木で、こちらも葉を落とすが落葉樹のように丸裸にな
るのではなく、おおよそ春に新しい葉の展開をさせながら
順次落としていくのであまり目立たない。厳密に言うと常
緑樹でも葉を落とすときに紅葉するが、条件があわないた
めにあまりきれいな色にはならないようだ。

寒い地方に常緑樹はないのかというと、そうではなく葉っ
ぱの形が針状(針葉樹)のものは、乾燥や寒さに強いので十
分生活していける。寒いところではモミ、マツ、トウヒで、
暑いところではサボテン(草ですけど)を思い浮かべてい
ただきたい。このへんの落葉樹・常緑樹、それと針葉樹・
広葉樹は分類する視点が違うので混乱することが多いかも
しれない。この中で紅葉が最も美しいと称されているのが、
落葉広葉樹(秋に葉を落とし、葉が平らなもの)のカエデ
科の樹木たちだ。日本には30種以上あると聞いている。

紅葉はこの工場(葉)が閉鎖され、切り離されていくプロ
セスの中で起こる現象で、それには「離層」の発達が大き
なキーポイントになってくる。(離層とは枝から葉を離す
ために、養分・水分のやりとりを徐々にストップさせ、葉
が離れたあとを保護する、枝と葉柄の間に発達するコルク
層のこと。)

この離層の発達をスイッチに、樹木たちは大きく三つに分
けて紅葉していく。
赤く色づく紅葉(こうよう)。
黄色になる黄葉(こうよう・おうよう)
茶褐色になる褐葉(かつよう)
次回はこれらの紅葉していくしくみを解明する。

私のコラムは長すぎる!と苦情が相次いでいるので、
今回はこの辺でおいとましたい。        つづく

http://homepage2.nifty.com/kajipon/kt/kt-annai4-2.htm
(知人のサイトの中のコーナーです。美しすぎる)