2003/10/24  #10

紅葉のしくみ 〜その2〜


さて、晩秋になると厳しい寒さや乾燥から身を護るため、
樹木は離層を発達させてくる、というところまで準備は進
んだ。

葉っぱが黄色に黄葉するしくみと、赤や褐色に紅葉・褐葉
するしくみは違うので、それぞれ順に取り上げてみたい。

黄葉(こうよう・おうよう)葉が黄色く変色すること。
葉っぱの細胞の中には葉緑体があり、これが光合成を行っ
ている。そしてその葉緑体の中には緑色の色素である葉緑
素(クロロフィル)や橙紅色のカロチン、黄色の、キサン
トフィル(カロチン類)などが含まれている。さまざまな
色素があるのに葉が緑色に見えるのは、クロロフィルの量
が圧倒的に多いからで、他のカロチノイドとの比率は5:
1〜8:1と、8倍ほどの緑色色素があるためだ。しかし、
晩秋になり夜間が冷え込んでくると落葉樹たちは冬支度を
始め、葉緑体の活動が低下し、離層を発達させるようにな
る。同時に養水分の行き来が断たれ、葉緑素(クロロフィ
ル)は紫外線と酵素の作用によって分解されアミノ酸とな
る。このころから、葉の色があいまいになり始める。他の
色素も分解されるが、カロチノイド(カロチン類)はもっ
とゆっくり分解されるために、先に緑色がなくなり、もと
もとあった黄色が目立ってくる状態になる。これが黄葉だ。
イチョウやカツラなどが美しいが、カラマツ(落葉針葉樹)
の黄金色は東北人の私にとって特別な存在である。

紅葉(こうよう)葉が赤く変色すること。
晩秋になると離層が発達し葉を落とす準備を始める。養水
分の行き来がたたれ、葉緑素が分解されてくる。ここまで
は黄葉と同じ。
日中、葉のなかで、光合成により作り出されたデンプンは、
夜の間に、酵素の働きによって糖に分解される。しかしこ
の糖は離層ができて行き場を失っているため、葉っぱの中
でたまり始める。そして葉緑素(クロロフィル)もアミノ
酸に分解される。ここから出来上がった「糖分」と「アミ
ノ酸」を材料に、紫外線の影響と触媒酵素の働きによって
アントシアン系色素を作り始める。そのアントシアン系色
素が赤やオレンジ、紫、青などといった鮮やかな色を演じ
る紅葉の正体だったわけだ。これらのアントシアンが、失
われていく緑色色素と共に美しい色のハーモニーを奏でる。
やはりカエデ科の樹木が一押しだろうか。イロハモミジ、
オオモミジ、ヤマモミジ。別の科ではナンキンハゼ、ウル
シ、桜もなかなかいい。
ちなみに、カエデの名前の由来は、葉っぱの形が蛙の手に
似ていること、「蛙手(かえるで)」から来ているそうだ。

褐葉(かつよう)葉が茶褐色、赤褐色に変色すること。
褐葉していくしくみは、紅葉とほとんど同じで、
糖とアミノ酸から作られるフロバフェンという茶色の色素
のため。
ケヤキ・コナラ・ブナなど。ときどきキレイに見えること
もある。正直、これらの褐葉は単体では美しいとは言いに
くいような気がする。しかし、周囲の紅葉や黄葉と共演す
ると名脇役に生まれ変わるのだ!この引き立て役なくして
日本の「紅葉」は語れない。

常緑樹はどうしているのだろう。前回も少し書いたように、
葉っぱが寒さや乾燥に耐えられるしくみになっているもの
や、葉が凍ったりしないように細胞内の糖度を上げて、自
己防衛しているらしい。

ところで、黄葉は、もともとある黄色色素が目立ってくる
というのはよくわかるが、紅葉と褐葉はなんでわざわざ赤
やオレンジ、茶褐色なんかを作り出すのか?どうせ散って
しまうのに・・・
この理由は実際のところわかっていない。
・赤やオレンジ、黄色などの色で紫外線から葉緑体を護る
ため(葉やけ防止のため)
・赤外線を吸収して植物体の温度を上げ新陳代謝を促すた
め、などといった説がある。
んー、わかりません。
が、葉緑体はもともと別の生命体だったので、共生関係に
ある葉緑体が植物体から切り捨てられる過程でなんらかの
生命維持反応を示しているのかもしれない。

たとえば、
「冗談じゃねぇぜまったく!人を働かせるだけ働かしとい
てよぉ。チッ!残業代もついてねぇ。」と、不当な解雇に、
顔を赤くして憤慨しているのかもしれないし、
「やれやれ今年の仕事が終わったぜ。みんな、パ〜っとい
こうぜ!パ〜っと。もう、ガンガン飲むぞうぅ」
と言って、酔っ払って顔を赤くしているのかもしれない。

擬人化は私を誤った方向に導く時があるので、気をつけな
ければいけないが、後者のほうが微笑ましく紅葉を楽しめ
そうだ。

いま、外では樹木たちが冬支度を始めている。
私も次回の準備をいそがなくては。

次回、〜その3〜は
紅葉が美しくなる条件とその場所などについて。 つづく