2004/6/2  #24

マスターなる所以

「マスター」それは精通した者。「マスター」それは達人。   
「マスター」それはワザを極めし孤高の匠。    
しかし、私に与えられた称号マスターは、
そのどれにもあてはまらない理由によるものだった。

新事業部に移ってからのワタクシは飲み会の嵐に見舞われている。当然若い女の子などと飲む機会が増えるわけだが、そんなときにがぎって、H事業部長はここぞとばかり、
「なぁ、マスター」とか
「ちょっとマスターそれ取ってくれる?」などと
マスター呼ばわりを連発し、ニヤニヤと笑っている。

もちろん、「?」と思い始める女の子たちは
「まえ、バーテンのマスターかなんかやってたんですか?」
という質問をしてくる。H事業部長は、してやったりと、
ほくそえんでいる。

ワタクシは、しばらく黙り込んでから、やれやれとため息をつき、実はかくかくしかじかの理由でマスターになったのだというと、女の子たちは少し顔を赤らめながら、「それってそのマンマやん。」と目線をどこに定めたらいいのか迷うはめになる。

最近、いちいちその理由を説明するのが億劫になってきたので、この場をお借りしてドボク族ファンにもお伝えしておきたい。ワタクシもうんざりしているのだ。

つまり、こういうことだ。あれは5年ぐらい前のことだろうか・・・
予定していた仕事のダンドリが変わったので、夜遅くサブチーフがワタクシの部屋に寄った。そのときワタクシはというと、誰も来るはずのないひとり部屋で自分を慰めるためにエロビデオなどを鑑賞し、イメージトレーニングに励んでいた。ヘッドホンをしていたワタクシに、ノックもせず玄関から入ってきたサブチーフに気づくはずはない。
「もりた君、明日のダンドリやねんけど・・・」といってガラッと戸を開けたサブチーフ。
ガラッという音でやっと気づいたワタクシ。
「あっ、ご、ごめん・・・」と顔を赤らめ逃げるように部屋から出て行ってしまったサブチーフ。
何がおこったのかよくわからないワタクシは、とりあえずティッシュ箱から2回ほどティッシュをふんだくり、
「え?」と言ったときには時すでに遅しであった。

翌朝、倉庫に出勤すると、ドボク族の先輩たちが
「よ!おはよう、マスター!」
「マスター!今日も元気やな!」
と、こんなふうにしてドボク族では、マスター呼ばわりが始まったのである。

なにがおかしい。いいじゃないか!
ズリ仙人と呼ばれるよりはよっぽどましだ。
いろいろあったが、そんなわけで、最近では開き直っている。

これは余談ではあるが、
この行為はなにも恥ずかしいものではなく、おそらく全世界中の健全な紳士諸君が経験する神聖な行為なのだ。
10代、20代の若者など、毎日している者もいる。
そこで、ワタクシは考えた。
この若い男たちからほとばしるエネルギーを何とか平和利用できないものだろうか。世界中の男たちが行うこの上下運動を電気エネルギーに変換することができたなら・・・。

そこでひらめいた。
男性自身に装着できる特殊なアタッチメントを開発し、
その周りにちりばめた、熱エネルギーと、収縮・膨張・上下運動から生みだされるエネルギーを電気エネルギーに変換できる、ナノテクノロジーを駆使したダイナモが家庭用蓄電池に接続され、充電される。そんな、夢のような合理的かつ、気持ちのいい商品があったなら。そしてそこから生み出される副産物(良質のたんぱく質)を化粧品やサプリメントに応用できたら。・・・うーん、いやすぎるかもしれない。

いやしかし、21世紀の食糧問題や、エネルギー問題はこれで一挙に解決するはずだ。なにしろ何十億人の男性が毎晩発電してくれるのだから。ワタクシはこれで一儲けしよう。商品名は・・・そうだ、「直次郎くん」にしよう。

その前に、しておかなければいけないこともある。
先般、田中耕一氏が「ソフトレーザー脱理法」で
ノーベル化学賞を受賞されたが、
ワタクシはこれを「ピストン式発電速射法」として
学会に論文を提出するつもりだ。
ノーベル賞を受賞する腹積もりなのだが、さて、どの分野になるのか少し微妙なところがある。

マスターなるゆえん、ワタクシとしては、人生最大の汚点でもあるし、できれば、なかった事にしてしまいたい出来事のひとつである。