2003/5/6  #18

MISSION:IMMORAL

英国から船便が届いた。
出国する際、かさばる荷物で、重くないものだけ選別して
マシラ本部に送ったものだった。
ここのところ、仕事の忙しさにかまけて大事なことを忘れていたような気がする。
山積する宿題があるというのに、それをほったらかしにしておいたので、冷や水をかけられた感じだ。

「ミッション:インモラル」
(わからない方は「マシラ一族の秘術」参照)
それを聞いただけで、滞在中の過酷な日々が思い出される。
実は英国潜入に際し、マシラ本部からは、かのような極秘任務が発令されていた。
それは、ワタクシがとぼけた日本人留学生に扮し、
10WEEK TREE SURGERY というコースに紛れ込み、
秘術「ウグイスの谷渡り」復活のため、英国の機密情報を入手してくるという任務である。

以前述べた調査項目については、今回は触りの部分だけにして、後にひとつひとつクローズアップしてウケウリ学に掲載したい。

ロープワークを駆使しての特殊作業。
ツリークライミングの技術は飛躍的に向上するだけでなく、作業の安全性も格段にアップした。これまで使っていたツリークライミングの方法とは別の新しいシステムを導入することができる。ツーポイント・クライミングは、その設定するふたつのアンカーポイントの間を自由に移動できるため、空中でさえ両手がフリーになる。これで、安全なチェーンソーワークが可能だ。しかもクライミング・レスキューの資格も取得してきたので、読者の方で樹上で遭難した美女を見かけたときには、ご一報いただければ、ただちに現場に急行するよう体制を整える・・・つもりだ。
今回の渡英でワタクシは6つの国家資格(NPTC)を取得してきた。これは日本人初なのかもしれない。(カレッジの担当者が言っていた。)上には上がいるものなので、自慢話はホドホドにしなければいけないが、たまには自分を褒めねばならぬ。
しかし、本来の目的である秘術復活には、おおよその構想ができたものの、もう少し時間と工夫、改良が必要だ。

シャイゴ博士の学説。
これはワタクシのほうがまるで勉強不足だったと言わざるをえない。彼はアメリカの学者だと聞いて、それならば、なお更日本の温暖湿潤な気候に繁殖する木材腐朽菌(キノコ)に対して理解などしていないのだろう、と踏んでいたのだが、考え方を変えたのはこちらのほうだった。今現在、ワタクシは彼の学説を80パーセント合っている、と信じている。そういう反応があるというのは確かだ。いやいや、まだまだ未熟でいたらぬ小生である。
だが、現場にそれを応用する際に、たくさんの誤解を受けやすいことが予想される。
特集する際には、ターゲット・プルーニング(コレクトカット)やバリアーゾーンの発達についても詳しく紹介するつもりだ。
特にバリアゾーンについては別の学者の説と異なり、両者の研究が重ねられているらしい。バリアゾーンとは、樹木の木質が木材腐朽菌によって腐っていく過程で、樹木が自ら木質内部に発達させる防御層のことだ。
聡明な読者の方ならこう思われるかもしれない。
「木が腐らないような防御層を作るのなら、どうして大木や老木はあんなに腐って空洞になるの?」
ワタクシはその問題まで迫りたい。

インフォームドコンセントについて。
日本的な感覚でいうと、そんなものはない、と言っていい。彼らは樹木に魂が宿るとは思ってはおらず、樹木を動物のような見地から個体に意志があるとは考えていないようだ。まして、樹に神が宿るなどという感覚は、むこうにしてみればイエスキリストが樹に宿るのか?という話になってしまい、混乱するらしい。
しかし、共生社会を築いていく上で樹木は欠かせない存在と認識しているので、樹木を保護する法律の整備はかなり洗練されている。なぜそうなったかと言うと、彼らは樹を伐って伐って伐り尽くしてきた人々だからだ。国土の85パーセント以上を伐りつくし、もはやすべての樹木が切りつくされようとしているときに、「まった!」をかけたのは、実は王様ウィリアム1世だった。理由はハンティングをする森がなくなってしまうためだとか、・・・。しかしそれでもその流れを変えることはできず、二つの大きな大戦などが絡み、国土に占める森林の割合は5パーセントにまで減ってしまう。現在、その割合が11パーセントにまで回復してきたのは、環境保護を唱える人たちと、森林関係者、政府の政策と補助金、そして法律の整備によってなしえたのだと思う。
法律の授業はほとんどチンプンカンプンの状態だったので、あまり声を大にしては言えないのだが、樹を保全していくための法律の中で、T・P・O(Tree Preservation Order)という条例のようなものにはずいぶん感心させられた。よくできている。詳しい資料を持ち帰っているので、時間を見つけて訳せたら・・・と思ってはみるものの、専門用語の嵐でページを開いたとたん気絶してしまいそうだ。いずれにせよ、それぞれの国が違う地形で異なった時間を過ごしてきた背景があるので、どちらが良いとか悪いとかの話ではないようにしたい。

英国淑女の神秘
ある日、学生寮のランドリー・ルームで洗濯しようと、洗濯機のふたを開けると、なんとそこには紫色に光る女性の下着が底のほうにひっついている。むむ!?即座にワタクシはブラジャーとパンティを取り出し、しげしげと見つめていると、いきなり若い娘が入ってきた。走ってきたようで、息を切らしている。
ワタクシとその美しい娘はしばらく見つめあい、そして彼女のほうから歩み寄ってきた。「あっ、乗馬のコースの女の子だ」と思い出した瞬間、彼女はビンタをお見舞いし、手から下着を奪い取って去って行った。
「・・・ワシがなにしたっちゅーねん!」
英国淑女は美人が多い。スコットランドでは特に多く見かけた。
渡米したときよりも美人が多いなぁと思ったのはワタクシだけであろうか。性格もいい・・・と思う・・・たぶん。

そして諜報活動中、3週間のクリスマス休暇なるものが突如出現し、カレッジ内の学生寮を追い出される羽目になった。
(クリスマス休暇で学校が閉鎖されるのを知らずに渡英していたのだ)

その報告を受けるやいなや、マシラ本部では
即座にミッション:インモラル2を発令。
ミッション:インモラル2とは!?

次回、またしても、しょーもない真実が明かされる!